アメリカの釣りに関する制度

日本では内水面で釣りをするときに遊漁料(遊漁券)が必要になる場合が多いです。
釣り人が払う遊漁料が、漁協の放流事業等の費用となって釣り場環境の維持が行われる、という制度です。

そして、以前

店で売られている釣り具には様々な「マーク」が付いています。一体どういう意味のマークなのか調べてみた。
↑で紹介したような「環境・美化マーク」商品の売上の一部が、水辺の環境保全活動の費用として使われる、という制度もあります。

では、アメリカの場合はどうなのでしょうか?日本と同じような制度なのでしょうか?
今回はアメリカの釣りに関する制度を調べてみました。

アメリカの釣りに関する制度は主に2つあります。
1つはフィッシングライセンスの制度。もう1つはスポーツフィッシュ回復(Sport Fish Restoration)の制度です。

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フィッシングライセンス(Fishing License)

フィッシングライセンスは日本の遊漁証と同じようなもので、釣りをする場合は事前に購入する必要があります。

このライセンスは州ごとに発行されていて、ライセンスさえあれば州内のすべての釣り場で釣りができます。日本では釣り場の管轄漁協を調べないといけないので面倒ですが、アメリカは州ごとのライセンスなのでわかりやすいですね。

フィッシングライセンスは釣具店で購入できますが、購入時に身分証明書が必要になります。
これは州民とそれ以外でライセンス料が異なり、州民かどうかを確認する必要があるからです。州民はライセンスを安く購入できるというわけです。

釣り人が払うフィッシングライセンス料は、その州の収益になります。この収益はボート設備や魚類資源管理などの釣り・水辺環境関係の費用として使われます。
また、このフィッシングライセンスには「対象魚種」が指定されているわけではなく、何を釣るかに関わらず料金は一律です。

日本だと鮎や鱒などは、その他の魚(雑魚と表現されることもある)よりも遊漁料が割高に設定されていることが多いですが、アメリカだと魚種による遊漁料の差はありません。(わかりやすい)

そのかわりにアメリカでは、釣りをするならば必ずライセンス(遊漁料)が必要になります。日本だと遊漁料の対象にならない魚種(外来種などの漁業権対象外の魚種)を釣る場合には料金が掛かりません。

スポーツフィッシュ回復 (SFR)

1950年に制定された「SFR法」によってできた制度で、連邦政府・州政府機関・釣り産業・釣り人とボート使用者を関係づけるものです。

アメリカでは連邦政府により釣り道具やボート用品(燃料等)に税金(Excise tax)が掛けられています。
この税金は日本の消費税等と同様に納税者は釣道具メーカーですが、税金の負担者は釣り人やボート使用者です。

この税金によって集められた資金は「Sport Fish Restoration and Boating Trust Fund」(SFRBTF)という信託基金として扱われ、このSFRBTFから各州へ資金が分配されることで州の魚類資源回復・管理事業(SFR事業とします)の費用となります。

各州への資金は、40%が内陸地・沿岸区域(水面)の面積に応じて、60%はフィッシングライセンス購入者数に応じて分配されます。

つまり、面積が大きく釣り人が多い(州外からの釣り人も含む)州は、より多くのSFR事業資金を得られます。例え面積が小さくとも釣り人に人気ならば多くの資金が得られるのも特徴です。
人気のある釣り場には多くの資金が使われることになるでしょうから、釣り人(税金負担者)からしても納得しやすい制度ですよね。

また、SFRBTFからの分配金は、アメリカ合衆国連邦政府から州政府機関等への助成金として扱われます。
管轄している連邦機関はアメリカ合衆国魚類野生生物局(The US Fish & Wildlife Service)で、この助成制度はSport Fish Restoration Grant Programと呼ばれます。

州(とSFR事業関連機関)は、各SFR事業に掛かるコストの75%までの助成を受けられます(SFRBTFから分配された資金以上の費用をSFR事業に使うことになる)が、残りの25%以上は州で負担しなければなりませんので、州の収入であるフィッシングライセンスの利益(人件費などの経費を差し引いた分)によって充当することが多いようです。

SFR法についても説明します。

「SFR法」(Sport Fish Restoration Act)

DJ法 (Dingell-Johnson Act)とも呼ばれます。これは、この法律の制定に尽力したJohn Dingell下院議員(ミシガン州)とEdwin Johnson上院議員(コロラド州)の両氏にちなんだ呼び名です。

この法律は1950年に制定され、漁業ではなくスポーツフィッシング(遊漁)に利用される魚類の保全・管理事業を促進するために作られた法律のようです。
SFR法によって釣り関連製品等に税金が掛けられ、その税収を魚類の保全・管理や釣り場環境整備等の費用にすることが定められています。

この法律が制定された当時は、ロッド・リール・ルアー等の釣り道具が税金の対象でした。(税率10%)
後の改正により、現在ではライン・フック・シンカー等の釣り道具(税率10%)に加えて、ボート用モーター(3%)・輸入ボート・ヨット等(1~2.7%)・モーターボートや小型エンジン用燃料(税率不明)など、釣りに関わる多くのものが税金の対象に追加されています。(詳しくはこちら)

このようにアメリカでは釣り道具には10%の税金が掛けられていて、その税金は釣り対象魚や釣り場環境の保全・管理費用に使われています。(フィッシングライセンス料金も)
これは現在の日本の消費税よりも大きい税率です。大きな負担になりますが、その分釣り場が良くなって魚も増えるのなら納得して税金を払う人も多いでしょう。

前に紹介した「環境・美化マーク」の制度は、たぶんSFRを参考にしたんでしょう。釣具に賦課金をかけて水辺清掃活動や稚魚放流活動等の費用を釣り人から集める、というのは正にSFRと同様の制度です。

ただし、アメリカではSFR法(連邦法)が釣具への税金の根拠になっているのに対し、日本の環境・美化マーク賦課金制度には法的な根拠がありません。
日本の釣り業界もSFRと同様の制度を採用しようとしているのはわかるのですが、まずはちゃんと法整備をしないといけないでしょうね。

法的な根拠がない賦課金は反感を買うこともあるでしょうし、集めた資金が公正に使われているかどうかの判断もできませんから。

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