アジについて紹介した記事
の続編として、今回はアジ釣り(陸釣り)について書いていきます。
アジが足元でバンバン釣れるような場所で釣りをする人には参考にならないと思いますが、悪しからず。
私の住んでいる神奈川県では東京湾側と相模湾側でアジの魚影の濃さがかなり違います。(陸釣りの場合)
東京湾側はアジが多く、特に何も考えなくてもサビキで釣ることができますが、相模湾側だと単純なサビキ釣りでは中々釣れません。
しかし、今回紹介する釣り方「ぶっこみサビキ」なら、相模湾側でも比較的簡単にアジを釣ることができると思います。
私がアジを狙う場合は相模湾以外でもほとんどこの釣り方ですね。アジングは難しい…。
この釣りは、堤防・サーフなど比較的根掛かりが少ない場所ならどこでもOKだということ、仕掛けのセットが簡単で面倒なタナの設定も必要ないということが特徴です。とても楽!
しかも、夜釣りもOK、普通のサビキ釣りよりも良いサイズが釣れる、と手軽な上に良い釣果も望めるのが嬉しいところ。
さて、ぶっこみサビキは基本的にアジの回遊待ちをする釣りです。なのでアジの回遊行動を知っておくことも大事になります。
釣り方の説明の前に、まずはアジの回遊についての論文からいきますか。
アジの回遊行動
新潟県・佐渡島のアジの回遊行動(日ごとの移動)についての論文を引用します。
今回,追跡したマアジは,日中には人工魚礁や天然礁1,2に留まった。人工魚礁から天然礁1までの距離は役3km,天然礁2までは約2kmであった。夜間に人工魚礁から離脱して移動して行く方向はランダムであった。しかし,離脱した個体の一部は人工魚礁に戻る傾向を示した。夜間,表層を遊泳中のマアジは直下に人工魚礁があっても近寄る行動を示さなかった(Case 3)。
マアジの遊泳水深は夜間と人工魚礁や天然礁に蝟集する日中とでは,大きく異なっていた。夜間は水深5~10mを遊泳し,日中は人工魚礁の天端部や天然礁からそれぞれ高さ10m程度を遊泳した。マアジは日没後に中層から表層に向けて浮上する傾向を示した。
マアジは,18:45~21:15の時間帯で人工魚礁や天然礁から離脱し,再び人工魚礁や天然礁に蝟集し始めるのは2:30~4:45であった。したがって,礁への滞留時間は14時間00分~18時間15分であった。
このようにマアジは日中には人工魚礁や天然礁に留まり,日没後には礁から離脱し,夜間は表層を遊泳し,日出前には礁へと蝟集し始めるといった水平方向と鉛直方向に明確な日周行動を示しながら,礁間を移動していることが示唆された。本研究で,調査に用いたマアジがどのような回遊履歴を辿ってきたかについては不明である。しかし,佐渡島羽茂町沖でのマアジの連続追跡により,日中は人工魚礁の周辺部や天然礁の底層部付近にみられ,夜間には表層付近を遊泳して最大3km程度の礁間を移動するという行動様式が明らかとなった。今回,発信機の電池容量に制限されたが,7日間の連続追跡が行えたことから,マアジは最低1週間程度,一定の海域に滞留する行動様式を持つことが示唆された。
出典:公益社団法人 日本水産学会「日本海佐渡島羽茂地先の人工魚礁における超音波バイオテレメトリーを用いたマアジの行動様式」J-STAGE、https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/75/6/75_6_1019/_pdf(参照2017-11-15)
引用文中からアジの回遊行動の特徴をピックアップすると
- 日中は、人工・天然魚礁(ストラクチャーとします)の付近に留まる。このときストラクチャーの天辺あたり(中層~底層)に集まる数が多い。
- 日没後、それまで留まっていたストラクチャーを離れ、移動を開始する。移動する際の水深は5~10mの表層。
- 夜間移動する時の方向はランダムである。
- 日の出が近づくとストラクチャー(元々いた場所かどうかは関係なし)に集まる。
- 日中はストラクチャーに留まり、夜間は表層を移動する、という日周行動のパターンを繰り返す。
といったところでしょうか。
季節進行による大きな回遊をする時以外、アジは上記の様に「日中は動かず、夜に小移動する」というパターンを繰り返しているようです。
決まった回遊ルートがあるわけではないようですが、釣り場近くに魚礁が無いのならアジが活発に動き回る夜間のほうが釣りやすいはずです。回遊してくるのをじっと待つことになりますけどね。
私の経験でもアジは夜~朝マヅメに釣れたことが多かったですね。偶に日中にアジが釣れたこともありましたが、どの魚も小さかったのを覚えています。大体15cm以下の豆アジ・小アジでした。
逆に夜に釣れるのは小さくても20cmくらいで、30cm以上のアジもそこそこ釣れます。
さて、上記引用部には記述がありませんが、実験で利用したアジは29~36cmの個体だったそうです。…となると上記のアジの日周行動のパターンはこれらの「大きいアジの行動パターン」である、という可能性もあるかもしれません。
もしかしたら15cm以下の小さいアジと20cmオーバーのアジとでは行動パターンが少し違うのかもしれませんね。
例えば、大きいアジは夜に餌を食べるために沿岸部まで移動して日の出が近づくと沖合に移動する、のに対し、小さいアジは遊泳能力が低いので餌の多い沿岸部からあまり離れることができない、とかですかね?
……まあ私の仮説はどうでもいいとして、夜のほうが良いサイズのアジが釣れることは間違いありません。
問題は、「夜にアジが回遊してくる場所はどこか?」ということです。言い換えると「夜にアジが釣りやすい場所はどこか?」ってことです。
経験上、「意外とどこでも良い」というのが実感です。
しかし、「アジ釣り?どこでもいいよ」ではあまりに雑なので釣り場選びのポイントをいくつか紹介します。
- アジのエサが豊富にありそうなところ
具体的にはプランクトンや小魚が集まりやすい河川・流れ込み付近。 - 突堤があるなどの変化がある場所
これもアジのエサが集りやすい場所です。見た目でもわかりやすい変化は釣り場選びの決め手の一つ。 - 離岸流の近く
サーフで釣りをする場合は、これも考えておいたほうが良いでしょう。遠くまでコマセが流れていき、それを辿ってアジが集まってくるんじゃない?ってイメージです。 - 周囲よりも深いところ
アジは深場から回遊してくることが予想できるので、深いというのもポイントの一つ。変化の少ないサーフ等ではこういう「目には見えない変化」を狙うのも大事です。 - ライトで照らされている所
真っ暗ではアジも目が見えないので、ライトなどで少し明るくなっている場所も有望なポイントです。
上に紹介した要素をいくつか備えている場所ならば、アジの回遊待ちのポイントとしては申し分ないです。ちょっとでも「良いかもしれないな」と思う場所があれば、ぜひぶっこみサビキ釣りを試してみてください。
では、いよいよ仕掛けの説明にいきましょう。
アジを釣るなら、ぶっこむべし!
最初の方でも書きましたが、ぶっこみサビキは仕掛けの準備が簡単で、とても楽な釣り方です。いつ来るのかわからないアジの回遊をひたすら待つのですから、釣り方は楽な方が良いですよね?
下のイメージ図を見てください。
御覧のように仕掛けに必要なのは、
- ウキ付きプラカゴ
- サビキ
- オモリ
の3つだけ。シンプルでしょ?
それぞれについて少し説明します。
ウキ付きプラカゴ
「ウキ付きプラカゴ」と書いていますが、これはウキとカゴが別々になっているものでも構いません。ただ、ウキとカゴがセットになっているものを使うほうが準備が楽なのでオススメ。
↓こういうやつね
この仕掛けは、「沈めるウキサビキ」とでも言えばいいんでしょうかね?この釣りの場合、ウキはサビキ仕掛けを底で立たせるためだけにあります。
なので、「ウキの浮力はどれくらいが良いの?」と思うかもしれませんが、特に浮力を気にする必要はありません。使用するオモリよりも浮力が弱いものを使いましょう。
最初からぶっこみサビキの仕掛け一式がセットになっている商品もあるようですね。
便利だなぁ。
サビキ
この釣りで使うサビキは、通常のサビキ釣り用のものではなく、太い糸(幹糸3号以上)で作られた遠投サビキ釣り用のものです。使うオモリに合わせて選びましょう。
バケの色は、夜釣りでも使える白系のものとミックスがあれば問題ないかな、個人的には。
オモリ
使うオモリは、潮に流されにくいとされる六角オモリでよいでしょう。でも、根掛かりが気になるなら他の形のもので構いません。というか、別に何でもよいです。
私の場合は、相模湾サーフで六角オモリの8号以上を、根掛かりが気になる場所ではナス型オモリの6号くらいを使うことが多いです。
使用するタックルは、シーバスロッド・ショアジギングロッド・投げ竿・遠投磯竿などの仕掛けを投げるのに向いた竿と、それぞれの竿に合うサイズのリールがあればOKです。
ラインは1号前後のPEラインにリーダーを1m付けておくと仕掛けにラインが絡まり難くなります。
※ラインの太さは使用するタックル・オモリに応じて変えてください。
私の場合、ショアジギングの場所取り兼アジ釣りの時はショアジギングタックル(3m弱のロッド、シマノの4000番リール、PE1.5号にリーダー25lb.)をそのまま使用します。オモリは大体10号くらいかなぁ。
アジだけを狙う時は、シーバスタックル(3m弱のロッド、シマノの3000番リール、PE1号にリーダー16lb.)でオモリは6~8号くらいを使います。
遠投すれば釣れるというわけでもないので遠投用のタックルが無くても構いません。手持ちのタックルで試してみてください。
そうそう、ケミホタル(ケミカルライト)もあったほうが良いです。仕掛けにつける必要はありませんが、竿先にケミホタルをつけておけばアタリがわかりやすいのでオススメです。
…あ~、釣り方の説明がまだでしたね。
仕掛けもシンプルなんですが、釣り方もかなりシンプルです。
- カゴにアミコマセを詰める。
- キャストする。
- 5~15分アタリを待つ。
たったの3ステップ。基本的にこれを繰り返すだけです。
釣り方は単純なんですが、いくつかのコツがあるので紹介します。
まあ、大したことじゃないんですけど…。
- 釣り開始後はカゴの穴を全開に
カゴからコマセが出やすくなるので早くコマセを効かせることができます。この時は待ち時間は短く(5分とか)て良いです。
コマセが効いてきたと思ったらカゴの穴を半開に(穴が小さくなるように)して、アタリの待ち時間は長くします(10~15分)。 - キャスト後は少しさびく
キャスト後にさびいて、カケアガリの位置を確認してみましょう。他の釣りでも同様ですが、この釣り方でもカケアガリは一級ポイントになります。 - 竿は多いほうが良い
釣果を伸ばすには回遊してきたアジをコマセで足止めすることが必要です。そのためには1本よりも2本、2本よりも3本という具合に多くの竿でコマセを撒く方が効果的です。(もちろん1本でも釣ることはできます)
これらを実践すれば釣果が増えると思うので意識してみてください。
…あ、最後に1つ。
「コマセを使う」って面倒くさかったりしませんか?
私はルアー釣りばかりしていたので、「釣りの直前に釣り餌を買う」「釣り餌やコマセ入れ等のかさばる荷物を運ぶ」「汚れたコマセ入れを洗う」といった行為を未だに面倒だと感じてしまいます。できれば…やりたくない。
そこで「コマセ入れがいらない・常温保存OK」と謳われているコマセの商品(サビキ釣り用配合エサというらしい)を色々と試してきたのですが……正直に言うと使えない商品ばかりでした。なんというか、魚が寄りすらしないものが多いんですよねぇ……。
しかしですね、諦めずに類似した商品を試し続けていたら、今年になってついに納得できる商品が見つかりました。
それがこれ。アミ姫です。これは私みたいに「餌の準備・片付けが面倒」という人にはオススメですし、「釣り座・釣り場をよく変える」という人にもオススメ。片付けはキャップを閉めるだけです。パッとエサの片付けが終わります。
釣り餌に対してこう言うのは変ですけど、魚も釣れます!
……たぶんなんですが、アミエビが潰されずにそのままの形で入っているのが良いんじゃないでしょうか?他の商品とは魚の反応が違います。
釣果の面で見ればさすがに普通のアミコマセには敵いませんが、「常温保存OK・携帯性良し・準備や片付けが楽」と3拍子揃っているのは面倒くさがりな私にはぴったりです!…ああ、なんて楽なんだ!
私がよく行く釣り場では、深夜からショアジギの場所取りをしている人が多いのですが、ほとんどの人は朝マヅメになるまで釣りをしないんです。それではあまりに勿体ない…!
アミ姫とウキ付きプラカゴ、サビキ、オモリ(メタルジグでも可!)さえ持っていけば、ショアジギングの場所取りついでにアジを釣ることができます。いつもの釣りにほんのちょっとプラスするだけで良いんです。
皆さん、ぜひぶっこみサビキを試してみてください。そして、たくさんコマセを撒いてアジを寄せてください!
そうすれば、私ももっとアジが釣れるかも?!
おわり
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