サバについて ちょっとだけ書こう


釣りをしない人にもポピュラーであるサバは、海釣りをする人にとってはお馴染みの魚でしょう。

中には「もう釣れなくていいよ……」って人もいるかもしれませんけどね…。

今回はそんなサバについてちょっと書きましょう。


まずは、サバの釣り方に関して。

個人的にオススメな釣り方はショアジギングです。30~40cmくらいのサバが釣れる場所なら手軽にショアジギで楽しむことができます。

使うロッドは、ML・Mのシーバスロッドがあれば十分で、別にショアジギングロッドでなくても構いません。シーバスロッドの方が良く曲がって面白いし。

大サバが釣れない時期・場所でも、小サバ(15cmくらい?)が回遊してくるのならライトルアーで釣るのも面白いです。

メバル・アジングタックルが無くても、ライトなバスタックルで十分楽しめます。
大抵、サビキ釣りのコマセに誘われて足元まで寄ってくるので、ルアーの飛距離はそれほど気にしなくてもOK。とても気楽な釣りです。

まあ、サバを釣るなら魚の大小に関わらず「ルアーで釣るのがオススメ」ってことですね。

ルアー釣りをお勧めする理由は2つあります。

一つは、エサを用意する必要がないので「手軽」だということ。ルアーだとコマセの嫌な臭いもしませんしね。

もう一つの理由は、サバが餌として小魚を好むから。小魚を模したルアーはサバを釣るのにピッタリです。
もちろんサバは小魚以外も餌としますが、実はサバには「小魚を良く食べる時期」というのがあります。

そのことについて書かれた論文から2カ所を引用します。

このように浜田沖漁場では主に 6~8月の魚類を捕食する時期と11~12月の主に甲殻類を捕食する時期とに明瞭に分かれ,5月はイカ類を捕食する頻度が高くなった.またサルパ類は魚類・甲殻類の出現頻度の低い時期に高くなる傾向が顕著に認められた.
隠岐諸島周辺漁場でも基本的に浜田沖漁場と同様な変動が認められ,両漁場間に大きな差異はなかった.すなわち,この海域のマサバ食性には明瞭な季節変動―食性の転換―がみられた.

6~8月にかけてはマサバは専ら魚類を捕食していたが,魚種が固定可能であったものについてみるとカタクチイワシが圧倒的に多く,マアジは個体数でその1/5弱程度であった.高橋⁶⁾は体型や骨格の硬軟の差異に伴うマサバのより強いカタクチイワシへの選択性を飼育実験から明らかにしている.

出典:島根県水産技術センター「日本海南西沿岸海域におけるマサバの摂餌生態」AgriKnowledge、http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010831695.pdf(参照2018-2-15)

以前からルアーでサバが釣れるのは夏だけというイメージがあったのですが、この論文を見て納得しました。

これによると、サバは季節によって餌とするものを変えていて、6~8月の夏場は主にカタクチイワシを偏食しているようです。

ただし、この調査が行われたのは山口県~福井県にかけての日本海です。私の住んでいる神奈川県周辺や太平洋側のサバには当てはまらないかもしれません…。

しかし、個人的な経験からすると夏場はルアーでサバが釣れやすいので、この時期は太平洋側のサバも日本海側のサバと同様にイワシをよく食べているんじゃないかな?と思います。

つまり、この時期にイワシがよく釣れるような場所は大型のサバをルアーで狙うのに適している可能性が高く、うまくいけば大サバの数釣りが楽しめるはずです。

そしてサバは、ショアジギングのターゲットの中でも特に「単純なリトリーブで釣りやすい魚」です。
ルアー初心者でも釣りやすいので、夏はルアー(メタルジグ)でサバを釣るのがお勧めです。

さて、サバを釣った後には気を付けないといけないことがありますよね?
次はそれについて書こうと思います。

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鮮度が大事

「せっかく釣った魚だからできれば美味しく頂きたい。」 釣った魚を持ち帰る人なら誰でも考えることではないでしょうか?

釣った魚を美味しく食べるためには、当然のことですが鮮度を保つ必要があります。

釣った魚の鮮度に影響するのは、釣った後の処理(絞めるかどうか等)と保存温度の2つ。
そして、鮮度の落ち方は魚種によっても異なり、テキトーな処理・保存温度でも鮮度が落ちにくい魚もいれば、たとえ適切に処理・保存しても鮮度が落ちやすい魚もいます。

サバは鮮度の落ちやすい魚の代表格で、よく「鯖の生き腐れ」などと言われています。
私が海釣りを始めた頃は、この言葉のイメージがあったのでサバが釣れても全部リリースしていました…。

それに、考えてみれば「生き腐れ」ってすごい言葉ですよね…。ゾンビみたいな印象を受けるのは私だけではないはず……!

まあ、冗談はこれくらいにしておきましょう。

それでは、釣った後の処理方法の違いが鮮度に与える影響について書かれた論文を引用します。

マサバは筋肉の軟化が速い魚であることが知られている¹⁴⁾が,本研究の結果から温度ショックあるいは苦悶によって致死させた場合,即殺した場合に比べてエネルギー代謝関連物質や筋肉破断強度の変化速度は極めて速いことが分かった。従って,このような致死方法では活きの良さを全く保つことができないと考えられる。大分県佐賀関町には,「 関サバ」といって極めて活きの良いマサバを供給している。ここでは昔からマサバを一本釣りで漁獲し,出荷まで生きたまま飼育し,出荷直前に即殺するという取扱いが経験的になされてきたが,本実験の結果から,このような取扱いが活きの良いマサバを供給するのに不可欠であることが実証された。

今回の研究結果で特に注目すべきことは,温度ショックによって致死させた場合,その死後変化は苦悶によって致死させた場合とほとんど同じであるということである。マアジ¹⁾やブリ²⁾の場合には,温度ショックによって致死させた場合,即殺には劣るものの,苦悶死により死後変化を遅らせることができたが,マサバの場合には,流通現場で一度に大量の魚体を致死させなければならないときにも,活きの良さを維持しようと思えば温度ショックによる致死方法を用いるべきではないことを示唆している。

出典:日本水産学会「マサバおよびマルアジ筋肉の死後変化に対する致死条件の影響」J-STAGE、https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/62/3/62_3_453/_pdf/-char/ja(参照2018-2-13)

※ 温度ショック=魚を氷水に放り込む、苦悶=地面にほったらかし、即殺=延髄部を切断

この論文によると、「サバは釣ったらすぐに延髄を切って絞める」ことが鮮度を維持するためには必須とのこと。
よく「サビキで釣れる小魚は氷水に入れて絞めるのが良い」と言われますが、この方法はサバには不向きなようです。

この論文によると、苦悶死させたサバはナイフ絞め後24時間経ったものと同等の肉質(身の脆さ)であり、温度ショック絞めしたサバはナイフ絞め後14時間ほど経ったものと同等の肉質になるようです。

これってずいぶん大きな差だと思いませんか?

しかも、苦悶させたサバは死後直後~34時間後にかけて身の脆さはほとんど変わりません。つまり、苦悶死させてしまうと「釣りたてのサバ」であっても鮮度の悪い肉質になってしまうということです。

サビキ等で釣れた小サバを一々ナイフで絞めるのは面倒ですが、これ以外の方法の場合では短時間で「肉質の悪化・身が脆くなる」ことを考えればナイフ絞め(サバ折りでもOK)するほうが良いでしょう。

次は、保存温度が鮮度に与える影響について調べた論文から2カ所引用します。

今回の我々の結果から,マサバも0℃で貯蔵した場合には硬直の進行速度や筋肉中のATP含量の減少速度が速く,5℃または10℃で貯蔵した場合に死後変化が遅くなることが明らかとなった。また,致死後の貯蔵温度が,死後硬直や筋肉中のエネルギー代謝関連物質の含量に影響を及ぼすだけではなく,刺身として食べたときの歯ごたえの強さの指標となる筋肉の破断強度やK値にも影響を与え,これらに対しては,10℃で貯蔵するより,5℃で貯蔵した方が適当であると考えられた。

今回検討したマサバの死後変化に対する貯蔵温度の影響は基本的には漁期に関わらず同様であると考えられた。しかしながら,夏期の方が5℃の優位性が顕著ではなかった。また筋肉ATPの減少速度やK値の上昇速度は冬期に比べ夏期の方が速かった。魚の生息温度と致死後の貯蔵温度との関係については,Abe and Okuma²³⁾が詳細に報告している。すなわち,生息温度と貯蔵温度の差が大きいほど死後変化の速度が速いとされている。マサバが生息する海水温は当然のことながら夏期の方が冬期より高く,このことが夏期の方がマサバの死後変化が速かった理由の一つであると考えられる。

出典:日本水産学会「マサバ筋肉の死後変化に及ぼす致死後の貯蔵温度の影響」J-STAGE、https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/65/3/65_3_495/_pdf/-char/ja(参照2018-2-15)

この論文によると、生で食べることも考えるとサバは5℃で保存するのが良いようです。

0℃以下の温度で保存するとATP(アデノシン三リン酸)の減少が早くなってしまい、10℃以上だと肉質の悪化が早くなってしまうので「ベストは5℃だろう」というのが結論になっています。

ちなみに、ATPとは「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれ、生物が生きていく上で必要なエネルギーを蓄える物質のようです。(詳しくはググってください。難しくてよくわからんので)

ATPは「生きている証」とも言えるような物質で、死後は時間とともに減少・消失してしまいます。
時間とともに減少する……言い換えれば「ATPが多いほど鮮度が良い」ということです。 なので、魚の鮮度を計る方法としてATPの値を調べるようです。

そしてK値というのは、旨味成分であるイノシン酸とヒポキサンチンの割合のことです。
これらの物質は時間とともに増えるので鮮度の低下をあらわす指標として使われています。

さらにこの論文では、夏期と冬期ではマサバを同じ温度で保存したとしても鮮度の変化に差がある、ということが示されていて、一般的に冬よりも夏に釣れた魚は鮮度が落ちやすいことが紹介されています。

冬は魚の鮮度が元々落ちにくい上に、気温も低いので鮮度を維持するのが容易ですが、夏の魚は鮮度が落ちやすい上に気温が高いので釣った魚の処理がとても大切になる、ということですね。

紹介した2つの研究の結果、釣れたサバは延髄を切って絞めた後に5℃で保存すれば鮮度を維持できる、ということがわかります。

釣れたサバはクーラーボックスに入れることになりますが、5℃で保存すには氷・保冷剤に魚体が直接触れないようにする必要があります。氷・保冷剤をタオルで覆ったり、仕切りをつける等の工夫をしましょう。

……長々と書きましたが、サバが釣れたらサバ折りしてクーラーボックスに入れておく、という ごく一般的な方法がベストであるということですね……。

たとえ小サバであっても美味しく食べたいのなら、ちゃんとサバ折りするのをお勧めします。(できれば内臓も抜いておく)

……しかし「鯖折り」ってのもすごい言葉だなぁ。

おわり

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