バスプロショップス「エクストリーム ETXSC8」分解とか

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釣り具関係

 

今回はバスプロショップスのスピンキャストリール「エクストリーム(Extreme) ETXSC8」について。

 

前回紹介したイスズの「ピッキーノ」に続いて、またもスピンキャストリール……。
実はピッキーノを購入した後、そう間を空けずにこのリールも購入しました。(購入したのは何年も前だけど)

 

実はこのリール、正式名称がわからない。

というのも、パッケージには「EXTREME(エクストリーム)」と書いてあるけど、説明書には「ETREMECAST(エクストリームキャスト)」と記されていて、一体どっちが正しい名前なのか不明なんです……。

 

このテキトーさがアメリカン。
「好きなように呼んでくれっ!」ってところでしょうか?

 


 

さて、「なぜこのリールを買ったのか?」というと……
それはピッキーノの性能があまりにも低かったから。

 

前回記事にも書きましたが、ピッキーノを購入した理由は「スピンキャストがどういうものなのか気になった」からです。

 

そこで買うのなら日本メーカーのものを、ということでピッキーノを買った(この時はダイワのスピンキャストは販売されていなかった)のですが、このリールは釣り道具として満足できるものではありませんでした。

その時は「スピンキャストって使えないな…」と思いました。スピンキャストリールは玩具みたいなものだと……。

 

しかし、後々ネットで調べてみるともっと使えそうなスピンキャストリールがあるではないですか!

 

そして私は悩みました。

「スピンキャストがどういうものかはわかった。しかし、スピンキャストの実力はわかっていないのでは…?」

「このままスピンキャストを見切るのもよいが、ピッキーノだけでスピンキャストを知ったつもりになるのは何か違うのではないか…?」

 

確かに、ピッキーノを買ったことでスピンキャストリールの構造や特性は理解できました。
ピッキーノを買った目的は確かに達成しました。スピンキャストが使えないなら使えないでよかったはず…。

 

……でもね、なんか納得できなかった。

「ピッキーノよりも使いやすいスピンキャストなら、もっと楽しく釣りができるんじゃないか?」って疑問が頭から離れなかったんです。

 

気がつくと、不思議とスピンキャストに執着している自分がいたんです……。

「ここが、こうなってたらもっと良いリールなのに……」ってところがピッキーノには多すぎました。

 

この「もっと機能を良くできるでしょ?」という思いが、いつしか「もっと良いスピンキャストを使ってみたい!」という気持ちになってしまった……というわけです。

そして当時、性能・価格面で優れていると思えたエクストリームを購入しました。

 


 

それではスペックを見てみましょう。

 

エクストリーム

重量 約 280g
ギア比 4.6:1
最大巻上長 約 61cm
糸巻量 4lb. / 約 174m

 

6lb. / 約 110m

最大ドラグ力 約 4kg
ボールベアリング 3+1

 

これに対してピッキーノは

重量 175g
ギア比 3.4:1
最大巻上長 32cm
糸巻量 2号 / 60m
最大ドラグ力 1.5kg
ボールベアリング 0

スペック上、軽さ以外はエクストリームの方が上なのは明らか。これでほとんど価格差が無いというのが信じ難い……。

 

この2つのリールには、これ以外にも違いがあるので分解しながら見ていきましょう。

分解

フロントカップを外します

 

ローターを外します

ピッキーノとは違い、ここにはドラグユニットは入っていません。

そして、ドラグが滑るとスプールが回転するピッキーノに対して、エクストリームはドラグが滑るとローターが回転してラインが出ていきます(スプールは回転しません)。

 

ピックアップピンを分解

ピッキーノはただの棒でしたが、エクストリームはスリーブ・ラインローラーを搭載したものになっています。(なぜか金色のスリーブが外れなかった)

このラインローラーの恩恵は、2つのリールを使い比べてみるとすぐにわかります。ラインの「持ち」が全然違う。

 

スプールのEリングを外すけど……

意味なかった…。オーバーホール以外ではここを外す必要はないでしょう。

 

ハンドル・スタードラグを外します

ハンドル周りのこの感じ、ベイトリールみたいでしょ?

 


左が奥になるように順番に並べた。

 

ボディカバー?を外します


ギアシャフトの支持はボールベアリング。

 

ドライブギア周辺を横から見たところ

上から、ハンドル逆転防止ユニット(インスタントアンチリバース)、摺動子(オシュレーター)、ドライブギア。

 

ハンドル逆転防止ユニットを外す


ドライブギアにはもう一つ小さなギアがセットされている。これはドラグが出たときにラチェット音を出すためのもの。

しかし、なぜか説明書にはこのパーツの存在は記されていない……う~ん、アメリカン。

 

ハンドル逆転防止ユニット

左が上になるように順番に並べた。

 

ボディ左側の「Bass Pro Shops」マークがついているプレートを反時計回りに回して外す

ここにギアシャフトを留めているネジがある。

 

余談だけど、この設計を見るだけで海水での使用には向いていないリールだということがわかります。

外したプレートには水の侵入を防ぐような工夫はされていないし、ネジで留められているのはオープンタイプのボールベアリング。

しかもネジ穴の隣にある穴も貫通している。これはまあ、ドライブギアにグリスアップするのには便利だけど……



グリスアップ用の穴は、他にちゃんと用意されているという………ね。

 

ギアシャフトのネジを外し、スプールとギアシャフトを外す。


御覧のようにスプールは回転しないような構造になっていて、オシュレーター(メーカー的にはレベルワインドプレートと呼ぶらしい)によって、ハンドルを回すとスプールが上下動する。

 



見比べてもらえば、スプールが動いているのがわかると思う。

 

ドライブギアユニットをギアシャフトから外す

 

ドラグ部分を外す

左が上になるように並べた。
こんな小さなドラグパッドでmax 4kgのドラグ力が得られるのか…?

 

オシュレーターを外す

単純な(ひと昔前の)構造。このリールならオシュレーターほこれで十分。

 

サムレバー(クラッチみたいなやつ)を外す

 

メインシャフトについているバネを外す

ついでにクラッチレバーも外した。

 

…さて、困ったことにこれ以上の分解ができなかった。

ピニオンギアはネジの頭が邪魔で外れない。
そして、ネジはメインシャフトが邪魔で外れない。

 

問題は、メインシャフトが抜けないこと。

パーツリストに載っているイラストによるとこれでメインシャフトが上方に抜けるはずだけど、何かが引っかかってメインシャフトを抜くことができない…。

テキトーすぎだろ…アメリカ人。それとも Made in China が原因なのか?

 


メインシャフトが入っている筒状のパーツは外すことができるのかもしれないけど、適切な工具が無くて外せなかった。

これが外せないと2つのボールベアリングとピニオンギアを外すことができない……。

 

……仕方なく分解はこれで終了。

 


 

2つのスピンキャストを比べると、このリールはピッキーノよりも構造が面白い。

ピッキーノは機能がシンプルでパーツも少ないけど、エクストリームはスピニング的な機能(ピックアップピンのラインローラー、オシュレート等)とベイト的な機能(ドラグ部分、クラッチ等)が見事に融合したリールだと思います。

 

まあ、その分パーツが増えるのでメンテナンス性はあまり良くないけど…。

 

実際に使ってみても、ピッキーノと比べてエクストリームは圧倒的に使いやすいです。
いや、「使いやすい」というよりも「性能が高い・トラブルが起きにくい」という方が正確かもしれません。

これはピックアップピンに付いているラインローラーと大口径スプールによるところが大きいです。
ピッキーノはすぐに糸よれしてしまいますが、エクストリームの糸よれは許容範囲内。これならルアーフィッシングにも使いやすいです。

 

あと、ドラグ力の差は地味に大きいです。

スピンキャスト・スピニングリールはドラグが出るとラインがヨレてしまいます。ドラグ力の低い(低すぎる)ピッキーノは必要以上にドラグが出てしまい、ラインがヨレにヨレます……。

その点、エクストリームはmax4㎏のドラグを備えているので問題なし。一般的な釣りには対応できます。

 

しかし、エクストリームにも欠点はあります。

それは海水での使用に向いていない(メンテナンス性も含めて)ことと、単純に重くてデカいこと。

 

重いというのは「重量」と「持ち重り」という二重の意味での重さ。
エクストリームは自重280gです。参考として、私がよく使っているエラン ワイドパワープラスは自重305gです。あまり差がありません。

 

その上、エクストリームはボディも高く、パーミング性が悪い……。完全に手が大きい人向けです。


友情出演:エラン ワイドパワープラス

 

この重量とパーミング性の低さは「重心バランスが取れない」・「すぐに手が疲れてしまう」という問題につながります。

フロントカップ部分が重いのでタックルの重心が手の位置よりも前になりやすく、しかもリールの重心が高いので持ち重りしてしまうのです。

 

私は管釣りで使用するためにこのリールを買ったのですが、もちろん菅釣り用ロッドではバランスが取れるはずもなく、グリップエンドに重りを仕込んでバランスを取っていました。

しかし「なんで管釣りでこんな重いタックル使ってるんだろう…?」と思って、最近は使っていません。

 

あ、あと「重さ以外は特に不満点が無い」というのも使わなくなった理由かもしれません。

このリールを購入したのは「ピッキーノの不満点が改善されたものを使いたかった」からです。

エクストリームはピッキーノで不満だったところが見事に改善されていたので、まあ何と言うか……使っているうちに満足しちゃったんですね。

 

「やっぱりスピンキャストもちゃんと使えるリールじゃないか。良かった、良かった。」みたいな……。

 

最後に一つ。

よく「スピンキャストリールは初心者向けのもの」と言いますが、この言葉はエクストリームには当てはまりません。

 

そして、間違っても子供に「初心者用」としてエクストリームを買ってはいけません。

 

なぜなら……

 

エクストリームは筋トレ器具!
マッチョな初心者向けのリールだからです!!

 

※初心者ではなくても性能には満足できると思います。…重いけどね。

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