ヒラメについて 釣る前にちょっと調べた

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魚のトピックス

 

今回はヒラメの話

 

今冬はヒラメをルアーで狙ってみようと思っていたんですが、未だにヒラメを釣りに行ってません。
せっかくヒラメ用のルアーを購入したというのに……。なんとなくサーフに行くのが億劫なんです…。

 

私は「ソゲ」と呼ばれるサイズのヒラメしか釣ったことがない(しかも外道で)ので、いつかは「座布団級も釣ってみたいなぁ」とぼんやり思っているんですが……

実はあまりヒラメという魚についての知識がありません。

 

「ヒラメ?サーフのルアー釣りで釣れるんでしょ?…美味いよね。」くらいの認識です。

 

そこで今回はヒラメについて色々と調べたものを書いていきます。

 


産卵

ヒラメの産卵期は1月~8月ですが、場所によって時期はかなりズレるようです。
南方のヒラメは早い時期に産卵し、北に行くにしたがい産卵時期は遅くなります。

 

エリアごとの産卵期は2~3カ月だとされていて、この期間中にヒラメは何度も産卵するとのことですが、「自然環境中のヒラメの産卵」についての研究はあまりされていないようなので判明していないこともまだまだありそうですね…。

 

ヒラメは全国的に放流が行われていて、私が住んでいる神奈川県では毎年20万尾のヒラメ稚魚が放流されているようです。

ヒラメの餌

小さいうちはアミ類などを食べますが、成長すると専ら魚類を食べるようになります。
成魚の餌が魚ということは、ルアー釣りのターゲットにはピッタリです。

しかし、ヒラメ釣り初心者の私としては、色々とわからないことばかり……。

 

ルアーにはヒラメ用のものも含めて、様々なサイズのものがありますが、「一体どのサイズのものを選べばいい」のでしょうか?

そのフィールドのベイトフィッシュのサイズに合わせるのか?それとも、釣れるヒラメのアベレージに応じたサイズにするべきなのか…?

 

調べてみたらこんな論文が見つかりました。

 

図の1つと本文を引用します。

魚食性への転換後は補助的にイカ類やエビ類も摂餌されていたが,主食はカタクチイワシやイカナゴなどの魚類であった。全長300mmを越えると被食魚の最大全長が170~180mm前後となりそれよりも大きな魚類の被食は認められなかった。このサイズは天然域に生息するイカナゴの最大全長とほぼ一致した。

出典:日本水産学会「東北太平洋沿岸域におけるヒラメの摂餌生態」J-STAGE、https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/64/2/64_2_249/_pdf/-char/ja(参照2018-3-5)

※上のグラフがヒラメの体長と餌のサイズの関係を表したものです。
縦軸が餌のサイズ、横軸がヒラメの体長です。○印がエサの小魚で、その他の印は気にしなくてOK。

 

これによると、30cm程に成長したヒラメなら18cmの小魚を食べることがあるようです。
それならば「釣れるヒラメのサイズに合わせてルアーサイズを選ぶ」必要はないでしょうね。

30cmだろうと60cmと同じサイズの小魚を食べているわけですから。

 

しかし、だからといって「15cmのルアーだけあれば十分!」なんてことは無く、ルアーサイズをベイトフィッシュのサイズに合わせられるように準備しておいた方が無難そうですね。

さて、釣りをする上で気になることといえば、「どの時期・時間帯が釣りやすいのか?」ということではないでしょうか?

 

これらを推測するためにヒラメの摂餌行動や移動行動について調べてみました。
これについても論文が見つかりました。

ヒラメの行動

まずはヒラメの離底行動と時間帯の関係について。

以下引用です。

離底を引き起こす要因には摂餌,移動(索餌,産卵回游,深浅移動等),外敵からの逃避等があげられる.日本海においてバイオテレメトリー(柿元ほか,1979)やデータロガー(梨田,1997)を用いて行われた調査では,夜間の長時間の離底行動は主に移動のための行動であり,日中の離底行動は索餌を目的とした行動が多くを占めていると推察されている(梨田,1997).本研究でも離底頻度のピークは8~9時と17時で日出・日没時刻の前後に当たり,梨田(1997)が報告している摂餌のピークとほぼ一致した.また平均COBAIが夜間に高いことも柿元ほか(1979)や梨田(1997)と一致しており,夜間に離底の継続時間が長いのは主に移動のための離底行動を表していると考えられた.梨田(1997)は9月の索餌期の離底の高さは平均 1.01~1.11mと報告しており,摂餌に伴う離底行動の鉛直移動距離は小さいと考えられる.

出典:水産海洋学会「瀬戸内海中西部におけるヒラメ成魚の周年の行動特性」AgriKnowledge、http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010773296.pdf(参照2018-3-5)

ヒラメは基本的には海底にへばりついている魚ですが、餌を獲ったり、外敵から逃げたり、産卵場への移動をしたりする時は底から離れて行動します。

引用文によると、ヒラメが底を離れて行動するのは、日中は主に餌を探すためで、夜間は主に移動のためであるようです。

 

さらに、日中で離底行動が多いのは8~9時と17時で、これはヒラメがよく餌を獲る時間帯とほぼ同じだと紹介されています。

8~9時と17時が摂餌のピークなら、この時間帯がヒラメ釣りの時合いになる可能性が高いのではないでしょうか?

 

「朝マヅメ~9時頃」までと「17時を中心とした夕マヅメ」の時間帯に釣りをするのが効率的かもしれない、という仮説を立てることができそうです。

 

次は季節と離底・摂餌行動について。

以下引用です。

産卵期前(主として2月)には12℃以下といった抵水温でも昼間に高い離底頻度が認められ,摂餌活動が活発に行われたと推察された.日本海のヒラメの季節毎の食性調査でも,産卵期前である3月下旬に最も摂餌指数が高いと報告されている(梨回,1984).産卵期前は卵形成が始まる時期に相当し,成魚ではエネルギー要求量が増加するため,この時期に摂餌活動が活発になり,昼の離底頻度が高くなった可能性が高い.なお成魚の生殖腺指数の月変化から生殖腺指数の低い2月には(愛媛県,1995)産卵は行われないと考えられ,また飼育下では産卵は夜間(0~3時)に最も活発である(平本・小林,1979)ことから,同時期の昼間に離底行動が活発化した要因が産卵行動である可能性は低いと思われた.

一方,産卵期後(5~6月)は昼夜共に離底頻度が高く,移動や索餌が活発に行われたことを反映したものと推察された.産卵期後の移動の目的は,主に産卵場からの移出と考えられる.また産卵場からの移出経路に地形や流況変化の大きい海峡部が存在することも,産卵期後に最も離底頻度が高くなった一因と考えられる.

3個体の平均で見ると,高水温の夏から秋(8~11月)は離底頻度が低く,大きな移動も行わなかった.ただし,水温が 20℃以下に下がる11~12月には3個体とも昼の離底頻度が高くなる傾向を示し,摂餌の活発化が推察された.一方,夏季(8月下旬~9月)は個体A・Bと個体Cで離底頻度に顕著な差が見られ,個体Cは夜間の離底頻度が高かった.前項で述べたように大半の期間について昼は離底頻度が高いが,夏季における個体Cは夜間に単独の離底頻度が高く,夜間に摂餌が行われていた可能性もある.

出典:水産海洋学会「瀬戸内海中西部におけるヒラメ成魚の周年の行動特性」AgriKnowledge、http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010773296.pdf(参照2018-3-5)

※上記の研究は瀬戸内海のヒラメが対象です。なので、他地域のヒラメには紹介されている傾向が当てはまらない、又は、傾向の時期がズレる可能性がある、ということに留意してください。

 

この引用文の注目点をまとめると、

  • 産卵期前は昼間の離底行動が多い
  • 産卵期前のヒラメは低水温期であるにも関わらず活発にエサをとる
  • ヒラメの産卵は夜間である
  • 産卵期後は昼夜共に離底行動が多い
  • 産卵期後のヒラメは索餌・移動行動が活発
  • 高水温期は離底行動が少なく、大きく移動もしない
  • 高水温期の行動パターンは個体によって大きく異なる
  • 高水温期を過ぎ、水温20℃以下になると昼間の離底行動・摂餌が活発になる

…こんな感じでしょうか?

 

これらからわかることは、ヒラメの行動は「単純な水温」によって活発・不活発になるのではなく、あくまでも産卵期を中心とした「時期」によって活発になったり不活発になったりするということです。

 

例外は夏場の高水温期です。
単純に高水温だとヒラメの行動は不活発になり、その高水温期が終わり水温20℃を下回るようになるとヒラメは再び活発的になるとのこと。

まあ、ヒラメは高水温に弱い魚なので、高水温期に不活発になるのは当然といえば当然ですけどね…。

 

面白いのは、高水温期には昼型の個体・夜型の個体など、行動パターンに個体差が出ることです。

昼に活動する個体、夜に活動する個体に分かれるということは、単純に昼間に釣りやすい魚の数が減っている、と考えてもいいでしょう。

その上、元々ヒラメは夏場には不活発になる魚なので、この時期にヒラメを狙うのはダメそうです…。やはり夏ならマゴチですかね。

 

さて、この論文を釣りに活かすとすると、ヒラメ釣りをする上で第一に認識すべきなのは「シーズナルパターンの把握」ということが言えそうです。

 

つまり、今のヒラメがどういう状態なのか?(産卵期前なのか後なのか、高水温期を抜けて活発になりだしたのか、等)を意識・把握することが大事だということです。

水温に関係なく活発に摂餌する時期に水温を確認して一喜一憂する必要は無いでしょうし、逆に、秋に水温を確認せずに釣りをしていたら実際は高水温だった…なんてことでは効率が悪いでしょう。

 

加えて、産卵直後の時期(だと予想する)ならヒラメの体力が落ちている可能性を考慮してスローリトリーブで誘ってみる、とか、すでに産卵から体力は回復している(と予想する)時期ならベイトフィッシュが集まりやすいポイントでヒラメの回遊待ちをしてみるなど、色々と戦略を考える上でもシーズナルパターンは重要になりそうです。

 

まあ、まともにヒラメを釣ったことの無い私のただの想像なんですけども……。

 

やはり実際に釣りをしてみないことには……ね? 知識だけあってもしっくりきません。
ま、産卵絡みのシーズン中にはヒラメを釣ってみたいですね。

 

なんてったって、もうヒラメを釣った後の鮮度保持についても調べましたからね!

以下引用

要 約

  1. サイズが小さいヒラメはサイズが大きいものより鮮度低下が速いことが示された。
  2. 20℃中に魚体を放置すると3時間でK値の上昇、pHの低下が見られた。
  3. ヒラメを苦悶死させると即殺した場合に比べて完全硬直に至るまでの時間が短く、また死の直後の乳酸値も著しく高いため、pHの低下が速やかである 。
  4. 生前に運動ストレス負荷し疲労したヒラメは、即殺しても完全硬直に至るまでの時間が著しく速くかつ完全硬直の保持時間が短い。
  5. 安静蓄養期間は30日であっても鮮度変化 に大きな影響はないことが示された。

出典:青森県ふるさと食品研究センター「ヒラメ(Paralichthys olivaceus)の取り扱いと鮮度変化との関係」AgriKnowledge、http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010760234.pdf(参照2018-3-7)

保存温度で鮮度に差が出るのは当然ですが、「サイズによって鮮度の下がり方が異なる」というのは知りませんでした。

あと、苦悶死させてしまうと鮮度が落ちる、というのは以前調べたサバと同様ですし、ご存知の方も多いでしょう。

 

気になるのは、運動ストレス負荷を与えてしまうと鮮度が落ちやすくなる、ということです。

当然、釣ったヒラメは運動ストレスを負ってしまうので鮮度が落ちやすい状態になってしまう、ということですね…。

 

実験では「1日安静にしたヒラメ」と「1時間強制的に運動させたヒラメ」で比較しているので、釣ったヒラメ(釣り上げるまで5分も掛からない)とは条件が異なり「釣れたヒラメの鮮度はどれだけ落ちやすいのか?」ということはわかりません。

 

しかし、釣り針に掛かったヒラメは全力で逃げようとするわけですから強い運動ストレスを負うのは間違いなく、鮮度が落ちやすい状態になっていると考えてよいはずです。

 

まあ、鮮度が落ちやすいと言っても、ちゃんとクーラーボックスで保冷してやれば問題はないですけどね。…産地直送みたいなものですし。

 

………まだヒラメを釣りにすら行ってないのに鮮度保持についても調べましたが、これが「捕らぬ狸の○○○」にならないといいんですけどね。

 

おわり

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