今回はダイワのリアドラグスピニングリール「リーガルプラス BR」の紹介・分解記事です。
このリールは鯉釣り用(ヨーロピアンカープフィッシング用)として発売されているモデルで、どちらかというと地味で目立たないようなリールなのではないでしょうか?
海釣りをメインにやっている方でこのリールを知っているという人は少ないのではないかと思いますが、海釣りでも活躍してくれるリールですのでチェックしてみてください。
紹介
まずは簡単な紹介を。
スペック (3500BR)
重量 | 470g |
ギア比 | 4.6:1 |
最大巻上長 | 79㎝ |
最大ドラグ力 | 8㎏ |
糸巻量 (ナイロン) | 4号-200m、5号-150m |
ボールベアリング | 3+1 |
ご覧のようにスペック上は特に優れたところはありません。(きっぱり)
ですが、このリールの優れている点は数字上には表れません。
このリールの最大の利点(特徴)はBRクラッチ。
このクラッチをOFFにすることによってワンタッチでドラグをフリー~弱にすることができます。(この時のドラグ力を調整するのがリアドラグノブ)
そして、このクラッチはハンドルを回すと自動でON(この時のドラグ力はフロントドラグノブで調整)になるので、ドラグフリーの状態から一瞬で予め設定しておいたドラグの強さにすることができるのです。
※クラッチは手動でONにすることもできます
クラッチON
クラッチOFF
つまり、アタリがあるまではクラッチOFFでドラグフリーにしておいて、アタリがあったらハンドルを回せば(クラッチON)そのままファイトできるのです。なかなか便利そうでしょ?
この機構を最大限に活かす釣り方はエサ釣りです。
それも、ブッコミ釣りや泳がせ釣りなどの「放置系エサ釣り」にピッタリ。一度使うとその便利さに骨抜きです。
実はこのタイプのリールはヤエン釣り用として各社から小型のモデルが発売されていますが、ターゲットがアオリイカということもあって大物狙いには少し不向き。というか、心許ない。
しかし、このリールはヤエン用リールよりも大型です。ラインキャパシティが大きいので太いラインを使いやすく、大物が掛かっても心配ありません。
私はこのリールを主に泳がせ釣りに使用しています。
使うのは春と秋で、ターゲットはアオリイカ・青物・シーバスなど。
泳がせ釣りではエサを深く飲ませる(しっかり抱かせる)ために魚(イカ)に違和感を与えないことが重要になります。このリールを使うと簡単にドラグのオンオフが切り替えられるので、常に違和感の少ない(ドラグフリーでライン抵抗が少ない)状態でアタリを待つことができるのです。これが本当に便利。
「ヤエン用リールの大型版があれば大物釣りに便利そうだなぁ…」
こう思う方は要チェックです。
値段もお手頃で良い感じなんじゃないでしょうか?
※アオリイカやシーバスなどを狙うならヤエン用リールで充分です。「ブリクラスの青物も狙いたい」というならこれの方が無難。
分解
リールの紹介はこれくらいにして、そろそろ分解にいきますか。
ハンドルを外す
供回り式の折り畳みハンドル。
たぶん問題はないと思うけど、もう少し頑強に作ってもらいたかった部分。
スプールを外す
フロントドラグはもしかしてクイックドラグ仕様かも?
感覚的で申し訳ないけど、ノブを回すとすぐに強くなったり弱くなったりする気がする。(MINから2回転半でMAX近くになる)
5角形?の針金を外し、ドラグユニットを取り出す
左側が上になるように並べた。
(左下が1番上、右上が1番下)
ドラグパッドが1枚だけ変色しているが、グリスがしみ込んでいるだけ。
ローターを外す
左側が上になるように並べた。
ラインローラーを外す
ここにはベアリングは使われていません。海で使用して多少メンテナンスをサボってもサビることがないという意味ではメリットかな。
ベールアームを取り外す
構造は非常に単純なので壊れにくそうだ。
アームカム・アームカムカバーを外す
小さいパーツやバネがあるので紛失注意。
(細かいパーツを外した写真を忘れた…)
※組み立てる時は
この太さの違う2本の棒を…
それぞれこの位置にセット。
これでローター部分は分解終了。
次はボディの分解です。
リアドラグノブのゴムバンドを外す
このリアドラグ部分の分解方法が今一わからなくて苦戦したけど、マイナスドライバーなどでゴムを引っかければ外せました。
隠されていたΩ型の金属を外すとノブ部が外れる
Ω型の金属は小さいマイナスドライバーなどで外せます。
ノブ部の黒い金属リングはテーパーがついているので組み立て時に向きに注意。
これでクラッチ部のネジを外せば銀色のボディカバーが外せるけど……
ネジがなめた……。
やっちまった………。
ってことで、これ以上は分解できないので終了!
……というわけにはいかない。
あーして、こーして……
と、取れた~。
よかったよかった。
ネジ外しに使ったのはANEXの「ネジとりインパクト スリム」。
いざという時にあると便利。
これのおかげで今回はこの世から1台のリールを「ジャンク品」という魔の手から救うことができたのだ! (こういう工具を使うと何故かテンションが上がる)
…さて、分解に戻りますか。
ネジを外し、クラッチ部を分解する
※短い方のネジは元々ついていたものとは形が異なります
ネジを2本外し、ボディカバーを取り外す
? なんと蓄光素材のパネルが外れました。
ここは接着などはされていないようです。まあ、別にそれでもかまわないんだけど……なんか珍しい気がする。
あ、変な形のワッシャーを忘れていた
クラッチ部の軸についていた。(右側)
ネジを5本外すとボディが開く
上の2本のネジは短く、下の3本は長い。
やはり、ボディの中には見慣れないパーツが…。こう見ると普通のスピニングリールよりも複雑なように見えます。
見慣れないパーツはクラッチとクラッチのオートリターン関係のパーツです。
これ(↓)はクラッチ部分のパーツ。
パーツA(仮)
※名称不明。いい加減ダイワにはHPのリールパーツ検索システムを更新してもらいたい。
クラッチレバーを操作すると、直結されたこのパーツも動きます。
このパーツの役割はクラッチのON・OFFの切り替えです。 クラッチONの時はトーションバネの力で下の金属板(?)を押さえ、リアドラグが回転しない(メインシャフトが回転しない)ようにするパーツです。
ちなみに、フロントドラグとリアドラグのスピニングリールのドラグの仕組みを比べると、「シャフトに対してスプールが回転する」のがフロントドラグタイプ、「ボディに対してスプール&シャフト(ついでにリアドラグユニットも)が回転する」のがリアドラグタイプ、という違いがあります。
スプールの回転を制御するのがフロントドラグの役割、スプールとメインシャフトの回転を制御するのがリアドラグの役割です。
一般的にリアドラグはフロントドラグよりもドラグユニットが小型で制動力が弱いうえに、スプールとメインシャフトを合わせた重量分の慣性に対してブレーキをかける必要があるのでドラグの性能は低くなります。(滑り出しが遅く、MAXのドラグ力も弱い)
つまり、このリールはクラッチONの時は強いフロントドラグを、クラッチOFFの時は弱いリアドラグを使っているわけです。
ファイトの時は強いフロントドラグを使い、アタリ待ちの時は弱いリアドラグを使う。……理にかなったシステムでしょう?
↓の2つはクラッチのオートリターン関係のパーツです。
パーツB(仮)
ギアの突起部分
オートリターンの仕組みはこうです。
クラッチOFF時にハンドルを回す
↓
ギアの突起がパーツBのアームを押し、パーツBが動く
↓
パーツBに連結されたパーツAも同時に動く
↓
クラッチON
パーツBはクラッチOFF時にはこのような状態になっています。
アームが上に出っ張っている
ONだとこう。
アームが引っ込み、パーツ全体の角度が変わる
この動きがパーツAに伝わり、クラッチがONになるわけです。
また、ギアには4カ所の突起が均等に配置されているので、最大でもハンドルを90°回せばクラッチはオートリターンします。
実際に使ってみた印象としては、この配置(突起の数)は丁度良い感じです。誤作動もなく、まどろっこしくもない。丁度いい。
いやぁ、しかしよくこんな構造を思いつくもんですねぇ…。よくできてるわ。
では、分解に戻ります。
ギアの付いていない方のボディからベアリングなどを外す
ベアリングとネジ止めされたパーツの2点だけを外しました。
リアドラグの音を出す為の金属パーツが残っていますが、外す意味がないからそのままで…。
ドライブギアを外す
ワッシャーあり。
メインシャフトとオシレーター関係を外す
オシレータースライダー(?)のネジを外すと全部ばらけます。
軸受けを外す
右のハンドル軸受けはボールベアリングではなく、樹脂!
最近のリールではあまり見ないような気が……。
そのかわり? オシレートギアのところにはベアリングが使われている……が、これが何故か取れません。接着されている…のか?
次はここだ~
ネジを外す
ピニオンギアなどを外す
ピニオンギアを引っ張れば全部くっついてきます。
小さなバネがついているパーツがあるので無くさないように注意。
左側のパーツが上になるように並べた。
だけど、一番左のワッシャーとベアリングが逆だった……。
ワンウェイクラッチ(インフィニットアンチリバース)は面倒なので分解しません。
ストッパーレバーを外す
ネジを外せば分解できる。……けど、あんまり意味ないからここは分解しなくてもよかったかな。
バネの紛失に注意。
え~と……名前なんだったっけ?
そうだ、パーツA(仮)だった。
パーツA(仮)を外します。
次はリアドラグ部分。
ちょっと見にくくて申し訳ないけど、ドラグノブのクリック音を出す金属パーツ(クリックリーフと呼ぶらしい?)を外す。
このクリックリーフがリアドラグユニットの脱落防止の役割も担っているみたいです。
銀色の筒状(?)のパーツを外す
反時計回りに回せば外せます。
外しておいたリアドラグノブをセットして回すと楽。
さっきのパーツを外すとリアドラグユニットを引き抜くことができます。
リアドラグユニットを分解
左側が上にくるように並べた。
さて、これであと残っているのは…
この金属パーツたちだけです。
特に固定されているわけではないのでそのまま外せます。
この位置にバネが入っていました。
組み立てる時はここに忘れずに入れてください。
変な形のパーツですが、これが直接リアドラグ(とメインシャフト)の回転を止める働きをするパーツです。
見た目はショボいけど重要なパーツです。
これで分解は終了です。
いや~、分解はちょっと面倒臭いけど面白いリールでしたね。
「アオリイカのついでに大物の魚も釣りたい……。」
そんな欲深い釣り人は、ぜひ。
おわり
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