秋の夜長のカワハギ話

秋の釣りといえばカワハギ釣りを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

今回はカワハギについて調べたことを紹介したいと思います。
「カワハギ釣り」については書いていませんが、悪しからず。

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釣って楽しく、食べても美味い魚。 カワハギ。

鱗が小さな棘のようになっていて(鱗が無いわけではない)、ザラザラとした手触りはまるでサメ肌のようです。
そして、ぬめりの無いざらついた皮は簡単に剥ぐことができることから『カワハギ』という名前がつけられたのはご存知の通りです。

北海道から東シナ海に生息しているようなので、低温にはそれほど強くないようです。
ゴカイ類や貝類、甲殻類などを食べる肉食性に加え、砂地と岩礁の混じるような浅場に生息することが多いのでチョイ投げ等の気軽な釣りで狙うのにピッタリな魚です。
砂地が近くにある漁港等では足元で釣れることも多く、釣り初心者でも狙いやすいんじゃないでしょうか?
針掛かりさせるのは難しいかもしれないけど・・・。

カワハギは口回りが硬いのに加え、釣り人に気付かれないように餌を取るのがうまい魚です。
鈍った針先では刺さらないような口を持ち、水中をホバリングするように泳ぐのでラインを引っ張ることなくエサだけ食べることができるのです。
ホバリングのような動きは、発達した背ビレと尻ビレのなせる業です。
敵から逃げる時や釣られている時など、早いスピードで移動しなければならない時には尾ビレを使うようです。

色、変わるんです

意外にもカワハギは体色を変化させることができます。


1, Aの段階  これは劣位魚subordinateの平常の状態で体色は明るい淡黄禍色を示し,同色の巻雲状のむらがみられるが,黒色斑絞はなく,ときに僅かな黒色斑点を認める程度である。
暗色では多少黄色味が減少し灰褐色味を増すが,やはり黒色斑絞は現われない。
なお,B,C,Dの状態の魚を棒でおどかすと急速にAとなる。背鰭棘および腹鰭棘は倒れ,尾鰭は開いていない。(Fig. 1, Pl. Ⅰ のaおよびd)
2. Bの段階  これは優位魚dominantの平常状態に特徴的な斑絞で“優位魚の表示”とも呼べるものであった。
黒色斑紋がはっきり現われ,背鰭棘と腹鰭棘は僅か立ち,尾鰭も多少開いてくる。
劣位魚でも観察者が急に接近したり,他の魚の威嚇を受けたとき瞬時この程度の斑紋を呈することもあるが極めて稀であつた。斑紋の濃さは常時多少変動している。(Fig. 1, Pl. Ⅰのb)
3. Cの段階  優位魚が警戒したとき,あるいは他の魚を威嚇しようとするときに現われる。また網ですくいあげたときは優位魚,劣位魚ともこの段階になった。
黒褐色の斑点は前後につながり長い帯状を呈し同時に頭部の下側から腹部にかけて細かな斑点が散在して出現する。
吻の先端部,背鰭基部および鰓蓋の外縁部を隈取る黒色帯は特徴的である。背鰭棘と腹鰭棘は多少立ち,尾鰭は開く。(Fig. 1, Pl. Ⅰ のd)
4. Dの段階  Cがさらに進んだmelanophore拡大の極限と考えられ斗争中に見られる。各斑紋が更に濃くなり,背鰭棘と腹鰭棘は一段と立ち尾鰭を全開する。(Fig. 1, Pl. ⅠのC)

出典:日本水産学会 岡市友利・階久雄・橋本芳郎「カワハギおよびアミメハギの体色変化」J-STAGE、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/24/6-7/24_6-7_389/_pdf(参照2017-9-25)

この研究によると、平常時に群れの中で優位(偉い?)な個体には黒い斑紋があり、劣位の個体は斑紋が無い状態になるとのこと。

そして、警戒・威嚇などの興奮状態になった時も黒斑が増えるようです。
考えてみると、今までに釣れたカワハギは黒っぽい個体が多かった気がします。
釣られた時の警戒色であったり興奮(ストレス?)状態の色だったんですね。

また、この黒斑の状態は数秒で変化するとのことですので、釣り上げたカワハギを透明なプラスティックバケツの中に入れておけば色調変化を観察できるかもしれません。
2尾以上のカワハギがいれば優劣の状態の色を見比べることもできそうです。

あいつ、食べます

さて、食物としても人気のカワハギですが、少し前まではその生態を詳しく研究されてはいなかったようです。近年はカワハギの生態・養殖に関する研究も進んで、各地で養殖も盛んになりつつあります。

以前、エチゼンクラゲが大量発生し漁業に大きな影響を与えた、というニュースがあったのを覚えている方も多いでしょう。
大量発生したエチゼンクラゲにより漁具の破損や漁獲量が激減(網がエチゼンクラゲでいっぱい・魚が傷つく)して、漁業関係者に深刻な被害が出たというニュースです。
当時使い道のなかった大量のエチゼンクラゲの処理をどうするか?ということも大きな問題になっていましたが、その鍵を握るのは実はカワハギかもしれない・・・。という研究です。

本研究の結果,エチゼンクラゲと配合飼料の混合給餌は,ミズクラゲとの混合給餌と同様に,カワハギの生残や成長に有効であるとともに,魚体のn-6HUFA含有率,特にARA 含有率を高める効果があることが明らかになった。
また,タウリンの補給にはミズクラゲよりもエチゼンクラゲの給餌が有効であることが示された。
以上の結果から,補助的な魚類飼料としてのクラゲ類の利用は,混獲されたクラゲ類の処理や大量発生したクラゲ類の駆除といった観点からだけではなく,魚類の魚体成分の改善といった観点からも,検討する価値があると言える。

出典:日本水産学会 宮島(多賀)悠子・益田玲爾・栗原紋子・山下洋・竹内俊郎「カワハギに対する補助餌料としてのエチゼンクラゲ給餌効果」J-STAGE、https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/81/4/81_14-00068/_pdf(参照2017-9-25)

カワハギはクラゲを食料にすることもあり、厄介者のエチゼンクラゲをカワハギ養殖の飼料として使ってしまおうという研究です。
引用部は実験の結論部です。やはりエチゼンクラゲだけでは栄養が偏ってしまいますが、他の飼料を混ぜて栄養を補ってやればカワハギ養殖の飼料として十分使えることが示されています。

今後、またエチゼンクラゲが大量発生するかどうかはわかりませんが、養殖カワハギ(高級魚といっても良いでしょう)の飼料として使えるという知識はきっと無駄にはならないはずです。
仮にカワハギの養殖がもっと盛んになればエチゼンクラゲを取るための漁が行われる、なんてこともあるかもしれません。

外国だとどうなのよ?

実は今回の記事では「カワハギの生態」をメインに調べようと思っていたのですが、上にも書いたようにカワハギの生態について詳しい調査・研究は行われていないようです。

そこで、「外国でもカワハギって釣ってるのか?」と思いついたので調べてみました。
カワハギは英語だと「Threadsail Filefish」と呼ばれるそうです。
『Threadsail Filefish』『Filefish』というキーワードを使って検索をしてみましたが、釣りに関しての情報はほとんど見つかりません。

まあカワハギ自体が東アジアにしか生息していないから当然と言えば当然です。
しかし、カワハギに近い種の魚は他国でも釣りの対象になっているようです。
各国で「Triggerfish(モンガラカワハギ科)」と呼ばれる魚が釣りの対象になっています。(Filefishはカワハギ科)

モンガラカワハギ科にはカラフルな魚も多く、世界中のダイバーにも人気があるようです。
欧米では「Gray Triggerfish(ネズミモンガラ)」という魚が釣りの対象になっています。
この魚は、なかなか針掛かりしない・食味がとても良いと、まるでカワハギの様に釣り人から認識されている魚です。

Gray Triggerfish

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構 開発調査センター、http://jamarc.fra.affrc.go.jp/zukan/f/f-2/f-m145/f-465.htm(参照2017-9-25)

ネズミモンガラは、大西洋のカナダ南東部~アルゼンチンにかけて生息(大西洋東部にもいます)していて、主に暖かく水深の浅い所を好むようです。
大型のものは5㎏を超え(デカい!)、甲殻類や貝類・ウニ等を餌としているようですが、釣りエサはエビ・イカ・貝・魚の切り身など様々なものが使えるようです。(イソメでもいける?)

仕掛けは、小さい針を用いた「Chicken Rig(チキンリグ)」や「Triggerfish Rig」とのこと。
どちらも日本では胴付き仕掛けと呼ばれる仕掛けです。このへんもカワハギと変わりません。デカい以外はほとんどカワハギと同じです。

しかし、チキンリグ・・・なかなか面白い呼び名ですね。今度からそう呼ぼうかな。

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