秋の夜長はギンピカで②

※ 当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

魚のトピックス

前回、中国の太刀魚漁獲量がすごく多い、というデータを紹介しました。

秋の夜長はギンピカで①
太刀魚 銀色に輝く長い魚体、鋭い牙、という武器として使える特徴を持つ魚です。 産卵期は5月~10月頃までで、寿命は6~8年。 1歳で体長約20cm、3歳で約70cmまで成長し、大きいものは2m以上になります。 オスは3歳以降になると成長が止...

 

何故あんなに多いのか、気になりませんか?
私は気になったので、調べました。

ダイユー?

太刀魚は中国語だと帯魚(ダイユー)と呼ぶそうです。(正確な中国漢字は違う字です)
“帯魚”というキーワードで調べましたが、私は中国語がさっぱりわかりません。
オンライン百科事典等のページを機械翻訳した文章を読んでみますが、所々の意味が分かる程度です。

何とかわかったことは、中国では太刀魚は漢方薬としての価値もある、ということでした。
どうやら、太刀魚の身は食べる漢方薬として効能があるそうです。(胃、解毒、止血、肝臓等の単語がありました。)
鱗(グアニンのことか)も外傷の薬として使われているようです(何に効くかまでは理解できませんでした。残念。)

さすが中国。まさか太刀魚が薬になっているとは思いもしませんでした
“帯魚(中国漢字の方)”で検索すると、検索上位に表示されるのは、オンライン百科事典と料理・レシピ紹介のサイトが多いです。(確認2016-10-31)

味が良い魚ですので、やはり中国でも食用として人気があるのでしょう。
対して、日本語で”太刀魚”と検索すると上位に釣りに関するサイトが表示されますね。なんて釣り好きが多い国なんだ。(笑)

さて、食用としても薬用としても使われるということは、食料品店と薬屋に太刀魚があるということになります。(実際にどうなのかは知りませんが)
言いたいことは、ただの食用品よりも需要があるということです。
薬用に鱗(グアニン?)を取った後のものを、食用品として販売するとは思えません。
身の方も漢方薬としての加工をする可能性があります。これも、薬として使えない部分を食用品として販売するとは思えません。(実際のところはわかりませんが)

このことが、中国の太刀魚漁獲量の多さに繋がっていると考えても良いかもしれません。
・・・それとも輸出用が多いのか?(中国のタチウオ輸出量がわからなかったので、何とも言えず。)

 

グアニン

さて、ついでに上記に出てきたグアニンについても紹介します。
グアニンというのは、簡単に言うと魚の銀色の成分です。魚が銀色に見えるのはグアニンのせい(おかげ)なのです。

太刀魚はグアニンの層に体を覆われていて、鱗はありません。釣れた後に剥がれ落ちているのは、このグアニンなのです。

グアニンについて、下記を引用します。

虹色素胞(光反射性色素胞)
虹色素胞は通常は突起を持たず、楕円状あるいは多角体状の光反射性色素胞である。
色素を含まないが、その細胞内には主としてグアニンからなる板状結晶(光反射小板;無色透明)の重なり(小板堆)が存在する。
屈折率の高いプリン結晶体の重層で生じる反射光の薄膜干渉現象によって、鏡のような高い光反射性(タチウオ、サンマ、カツオなどの体側・腹部の銀白色)や蛍光色のような鮮やかな色合い(ルリスズメダイのコバルトブルー、ネオンテトラ縦縞の青緑色など)が生じる。
前者に係わる虹色素胞内のプリン結晶は厚く、大きく、その規則的成層による光反射性は重層薄膜干渉の“理想型”である。
実際、高屈折率(反射小板;無色透明)と低屈折率(細胞質)の光学的厚さ(屈折率×実際の厚さ)が等しくなるように重なった小板堆が、電子顕微鏡によっても観察されている。

出典:大島範子、東邦大学メディアネットセンター「1.色素胞の種類と運動性」東邦大学メディアネットセンター、http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/fish/soho/change1.html(参照2016-11-1)

上記引用文によると、グアニン自体が銀色というわけではなく、その高い光反射性によって鏡のように(銀色に)見える、ということのようです。
ネオンテトラの等の色も同じグアニンによるものだったとは・・・。何とも不思議。

太刀魚と違い、普通の魚はグアニン層の上を鱗が覆っています。
鱗自体は、コラーゲンやハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)で作られています。
つまり、太刀魚には鱗がないためグアニンが鏡のように反射し、普通の魚は鱗が邪魔をしてしまうので鏡のようにはならないのです。

 

太刀魚は永遠の輝き

そして太刀魚を見てもわかるように、あれだけの輝きを放つグアニンですので、以前はマニキュア等の化粧品、模造真珠等の製造に使われていたようです。

化粧品の材料にパール剤というものがあります。
パール剤は光を反射させる・輝きを出すために使われる材料の総称で、かつては太刀魚等由来のグアニン結晶(魚鱗箔)がよく使われていました。
しかし、コストの高騰等により現在ではあまり使われていないようです。

日本では使われなくなったとしても、もしかしたら中国では使われているかもしれません。
しかし、中国語で”太刀魚 マニキュア”、”太刀魚 化粧品”、”グアニン マニキュア”等のキーワードで検索しても、レシピやオンライン百科事典のページばかりです。(確認2016-11-1)

検索の仕方が悪いのかもしれませんが、中国では太刀魚のグアニンがマニキュア等の化粧品の材料としては使われていないようです。
だとすると、中国でも太刀魚は食用がメインでしょう。薬と違って毎日消費しますし。・・・美味いし。

・・・気がついたら釣りと関係ないことばかりを長々と書いてしまいました。
では、結論を出して終わりにします。

「中国人は太刀魚食べ過ぎ!」

 

つづく

秋の夜長はギンピカで③
前回記事 のつづき。 3回目にしてやっと太刀魚釣りに関するトピックスを紹介します。 太刀魚は幽霊に例えられることもあるなど、神出鬼没というイメージの魚ではないでしょうか? 先ほどまで好調に釣れていても、ぱったりと反応が無くなる、ということも...

コメント