シングルフック用のフックカバー自作 ②

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釣り具関係

今回もシングルフック用フックカバーの自作です。

前回、強力マグネットシートを使用したそこそこ実用的なものはできたんですが、まだまだ納得のいく仕上がりにはなっていません。

ワンタッチでカチッとくっつき、外す時もワンタッチでサッと取れる。
そんな「使っていて心地良いフックカバー」を新たな目標に掲げ、試作品を作っていこうと思います。

フェライト磁石ってどうなのよ?

今回最初に用意したのはこの磁石。

レンジフードフィルター取付用強力磁石 (異方性フェライト)

ホームセンターの換気扇コーナーで偶然見つけました。
マグネット製品は事務・文房具コーナーに置いてあることが多いのでこういったものがあるのは見落としていました。

何故これを購入したかと言えば、異方性フェライト磁石の磁力がどんなものなのかを確認したかったから。

前回購入したマグネットシートにもフェライト磁石は使われていましたが、あれは切ったり貼ったりするために磁石以外のものも多く含んでいたのでフェライトの純粋な磁石としての性能は今一わかりません。

この磁石がフックカバーにそのまま利用できれば最高ですが、もし使えないとしてもフェライト磁石の吸着力を確認して、今後別のフェライトを使うのか防水加工したネオジムを使うのかを決めたいと思います。

さて、それではレンジフード用磁石を見ていきましょう。

なにやら変わった形の金属板がついています。
邪魔くさいし重量増につながるので外しましょう。

金属板をライターの火であぶると接着剤が弱まって簡単に外せました。

磁石自身の寸法は20×10×4(㎜)。
フックカバーに使うには大きすぎかな?

とりあえずこの磁石を使って試作品を作ってみます。

フックにつけてテストしてみます。

ルアーを少し振るくらいでは外れませんが、思ったよりも吸着力はないようです。

大きい磁石は磁力が強いとはいえ実際にフックにくっつく部分は一部(フックベンド部分)だけです。
なので、これでは磁石のポテンシャルを活かせていない気がしますね。

それに、このサイズの磁石を付けるとやはり重量も気になります。

重さを量ってみるとフックカバー1つで6~7g程度あります。
前回作ったカバー側面にマグネットシートを貼ったものは約2gだったので5g程度の差ですな。

仮にルアーケースの中に2フックのルアー10個入れたとして、その全てにフックカバーを付けた場合最大で100gも変わってくるわけです。

……これは磁力の強さ云々ではなく重すぎて無しかも。

そして、これもまた他のルアーのフックがくっつく…。

やっぱり磁石が大きいと色々と問題があるなぁ…。

この磁石をカバー側面に貼ったバージョンもテストしてみましたが、こちらは先程よりも大きな吸着力を得られます。
やはりフックとの接触面積は大きい方が安心感があるんですよねぇ。

カバー底方式のようにフックとの接触面積が小さくなる場合だとフェライト磁石では磁力が弱すぎるのかもしれませんが、小さい磁石を使えばフックカバーの重量が軽くなるのでなんとかなるかもしれません。

…試すか。

小さいのだったらなんとかなる説

ということで、マグネット専門の会社からネット通販で取り寄せることにしました。

フックカバー用なのでなるべく軽く小さく、それでいて適度な磁力を併せ持ち、かつできるだけ安い(これが一番大事)ものを探しましたが、小口での注文となると選択肢はあまり多くはありませんでした。

その中で選んだのはこの3つ。

  • φ5×1㎜ (0.09g)
  • 4×4×2㎜ (0.15g)
  • φ3×3㎜ (0.1g)

ちょっと小さすぎるかもしれないけれどフックとの接触面積やフックカバーの薄型化を考えるとこのあたり…かなぁ?

重量も20×10×4㎜のものよりもかなり軽いから上手くいくいいんだけど…。

では、それぞれの磁石をカバーに取り付けてテストしてみます。

……

φ5×1はカバー底に使うには弱すぎるけど側面に貼りつけることでなんとか及第点。

でもこれだとカバーに吸い込まれることもないので、コスパ的にマグネットシートを使った方が良いかな。

4×4×2とφ3×3は、2つ使えばカバー底でも使えそう。
ルアーを少し振る程度ではなんとか外れない、というレベル。

ただ、この場合フックベンドの形に合わせてマグネットを配置する必要があって、フックサイズや銘柄ごとに専用のケースを作る必要があるので数を揃えるのが面倒です。

また、このフックカバーを付けたルアーをルアーケースに入れてガチャガチャと揺すったり、ケース底から雑に取り出したりといったテストを行ったところ、少なくない頻度でカバーが外れてしまいました。

※前回作ったマグネットシート(カバー側面)方式は同様のテストでも外れにくい

おそらく、他のルアーにぶつかった時にフックカバーの中でフックの角度が変わり、どちらかの磁石がフックから離れることで吸着力が下がりやすいんでしょうね。

磁石を何個か重ねたり横に並べたりしてみましたが、どの方法でも満足のいく吸着力は得られませんでした。

カバーの中にフックが吸い込まれる感覚も弱い(気持ち良くない)し、フェライト磁石をカバー底方式に使ってもあまり良いところはない様です。

結局のところ、実用するなら前回作ったカバー側面方式のものの方がコストも性能もよかったようです。

色々と試してみましたが、理想のフックカバーを作るにはフェライト磁石では磁力が弱すぎる様です。

ヨークって知ってる?

こうなると100均で売られているネオジム磁石(φ6×2㎜)よりも小さく磁力の弱いものを取り寄せて、それに防水加工を施して使用するほかないか…?

そう考え、ネオジムの防水加工について調べてみるとネオジム磁石を購入する前にもう一つ試したいことが出てきました。

それがマグネット界のドーピングアイテム「ヨーク」です。

ヨークは磁石の吸着力を高める働きをするもののことです。

そして、その正体はなんとただの鉄板。(磁石がくっつく金属だったらOKらしいよ)
ある程度の大きさの金属板を磁石にくっつけるとヨークとして作用するらしいです。

つまり、今持っているフェライト磁石に何か金属板をくっつけるだけでよいと。……ホンマかいな?

ヨークについて詳しく知りたい方は磁石専門のサイト等で調べてもらいたいですが、ここでは引用した画像を載せておきます。

出典:SIMOTEC (下西技研工業株式会社)、「キャップマグネット」(https://www.simotec.co.jp/products/magnet/mg02/mg02-04/)

画像の左は磁石のみの場合、右は磁石とヨークを併用した場合です。
ヨークを使うことでN極とS極の両方の磁束を吸着に活かせるらしいです。

ま、簡単に言うと磁石に鉄板をつけると友情の力でパワーアップするってことだな、きっと。

しかも、ヨークの利点はそれだけではありません。
ヨークが付くことによって磁極がヨーク先端に移動するので元々磁極だったはずの部分(磁石とヨークの接触面)は吸着力を失うとか……フックカバー作りにピッタリじゃないか!?

これなら吸着力が強すぎるネオジム磁石でもヨークと併用することでカバー外に他ルアーのフックがくっつくことを避けられそうです。

…最高か?

金属板をつけるだけでこんなに変化があるなん磁石って面白いなぁ。

ヨークについて調べてみると、世の中の磁石製品ってヨークを使用したものがほとんどなんだとか。
マグネットを使ったドアや収納棚、冷蔵庫などにメモを張り付けたりするためのカラーマグネットなんかも全部ヨークが使われているそうです。

知らんかった。

そういえば、今回の冒頭で紹介したレンジフード用磁石にも変な金属板が付いていたような…。

あれって……

ヨークでした!
ヨークですよこれ!

金属板を外したものよりも確実に吸着力が増しているし、金属板側には吸着力がありません。

なんてこった、そうだったのか。

もう4枚も捨てちゃったよ…!

「いらねぇよ~、こんな変な形の板。」とか言って…。

…まあ、幸い付属の金属板はあと2枚あります。

これでどれ程吸着力が上がるかはわからないけど、フェライト磁石の名誉のためにも吸着力向上に挑んでみます!

磁石&ヨークでパワー無限大! (最大3倍)

早速金属板からヨークを自作します。
この金属板はたぶん磁性ステンレス製かな。

完成!

とはいってもただカットして折り曲げただけ。
こんなので磁石の吸着力が上がるのか…?

…あ、上がりよった。

4×4×2㎜の磁石で試したところ、磁石のみの2枚重ねでぎりぎり持ち上がらない重さ(19g)がヨークをつけると1枚だけでも持ち上げることができました。

磁石は2枚重ね(厚み2倍)にしても単純に吸着力が2倍になるわけではないので調べると、この大きさのフェライト磁石の場合は約1.7倍になるそうです。

つまり、自作ヨークの働きで1.7倍くらいにはパワーアップしたことになります。

あと、ヨークの形状についてもいくつか試したのですが、私の様な金属加工ド素人の場合は形状よりも金属板の体積を気に掛ける方が重要なようです。

単純な板状のものでも充分な体積さえあれば吸着力は1.7倍以上にはなるようですし、金属板の形状を変えたとしても吸着力の目立った上昇というのは感じませんでした。(加工が下手なだけという可能性が高い)

しかし、適当な金属板をつけるだけで吸着力が2倍近くにもなるなんて…ヨークってすごい。

今までおまえのこと知らずにいて…ごめんな?

それでは、ヨークへの謝罪は済んだので早速フックカバーを新しく試作してみます。

でけた。

見た目は今までのものとほとんど変わないけど、このnewモデルは友情の力によって2倍近くパワーアップしているのだ。

φ3×3のものは上手くいきませんでしたが、4×4×2・φ5×1(2枚重ね)で試作したものは共に良い感じの吸着力でフックをホールドしてくれています。

ルアーを多少強く振ってもカバーは外れず、ルアーケースの中でガチャガチャと雑に扱っても外れる感じはありません。

いいねぇ。
いいものできちゃったねぇ。

ワンタッチでスッと取り外しできるのってやっぱり使い心地が良いよね。
これでやっと納得のいくフックカバーができました。

あとはちまちまと量産するだけだなぁ。

フェライト?……奴は磁石四天王の中でも最弱。

でもさ、やっぱりここまでやるとさ……気になるし作りたくなっちゃうわけよ、ネオジムバージョンも。

てなわけで通販でネオジム磁石とヨークに使う磁性ステンレス板(SUS430)を購入。
どうせステンレス板は買わないといけなかったから、まあ、ネオジムはついでってことで…。

今回買ったのはこれ

ステンレス板は0.5㎜厚のものですが、これくらいの厚さなら万能ばさみでも切ることができるので加工は楽です。

ネオジムは4×2×1㎜と4×4×1㎜を用意しました。
どちらもかなり小型ですが、当然ながらその吸着力は先程紹介したフェライト磁石よりも強力です。

防水コーティングをするので吸着力は落ちますが、その分はヨークさんに賄ってもらいましょう。

それでは試作します。

まずは切ったステンレス板にネオジムをのせて…

100均のエポキシ接着剤で適当コーティング。

気泡があるとか細かいことは気にしない。

そんでもって適当に作ったカバーに強力両面テープでくっつける。

完成!

ちなみに使っている両面テープはこれ。

プラスチック系にも使えるし、テープに厚みがあるのでちょっとした凸凹面でも強力にくっつきます。
釣り用品のちょっとカスタムにも使えるので何かと役に立つ一品です。

さて、カバーのテストしてみましょう。

…つよっ!
吸着力、つよっ!

明らかにフェライト磁石製よりも強固にくっつきます。
ちょっとコーティングが厚くなっちゃったかな、とも思いましたが吸着力には全く問題ないですね。

ヨークが効いているようでカバー外からフックがくっつくこともありません。

使い心地に関しては今までで一番良いかも!

あとはちゃんと防水されているかどうかを確かめるだけですが、これは今後実釣を繰り返し確かめてみるつもりです。

フェライトは欠けやすい(陶器と同じくらいの脆さらしい)という短所もあり、コスト的にもフェライト磁石よりもネオジム+防水の方が安いので、上手く防水できているようならネオジムバージョンを量産しようかな?

いやぁ、それにしてもなんでフックカバー作りにこんなに熱中してしまったんだろう…?

おわり

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