秋の夜長はギンピカで①

太刀魚

銀色に輝く長い魚体、鋭い牙、という武器として使える特徴を持つ魚です。

産卵期は5月~10月頃までで、寿命は6~8年。
1歳で体長約20cm、3歳で約70cmまで成長し、大きいものは2m以上になります。
オスは3歳以降になると成長が止まりますが、メスは死ぬまで成長を続けるそうです。大きいのは全部メスということです。

英語だとSaberfish(サーベルフィッシュ)・Cutlassfish(カトラスフィッシュ)等と呼ばれているようです。
やっぱり、どう見ても剣みたいな魚ですからね。
陸からの釣り対象魚の中では、ひときわ異彩を放っている存在ではないでしょうか。
水中でも異様な感じに見えますけど・・・。

見た目は変わっている太刀魚ですが、とても味がよく、またサイズも大きいので釣りの人気ターゲットになっています。
釣りの人気ターゲットと聞けば、もっと詳しく太刀魚のことが知りたくなってきますよね。
え?ならないって?

・・・とりあえず太刀魚の漁獲量から見ていきます。



出典:総務省、農林水産省「海面漁業魚種別漁獲量累年統計(全国)」政府統計の総合窓口(e-Stat) (参照2016-10-30)上記サイトのデータから太刀魚の漁獲量推移をグラフ化したものです。


漁獲量がずいぶん減少しているのがわかりますね。
ピーク時(1967年)の68,307トンに対して、2012年は9,125トンとなっています。ピーク時の約13.36%しかありません。

これだけ漁獲量が減っているということは、太刀魚の個体数が減ってきているのでしょうか?
もしそうなら、釣れる太刀魚も減ってしまっている?
ところが、そう単純には結論は出ません。

以下引用します。

漁獲の動向
我が国の漁獲量は1960年代には5万トンを超えていたが、以西の衰退により減少し、2015年は1,369トンであった。
以西の漁獲量は、1967、1968年に5万トンを超えたが、近年は50トン未満で推移している。
沖底の漁獲量は、1960年代は2,000トンを超えていたが漸減し、2015年は23トンまで減少している。その他、大中型まき網、ひき縄等の漁獲量も近年減少している。
韓国の漁獲量は、1991年以降10万トンを下回り、2015年は4.1万トン(このうち1,900トンは日韓暫定水域を除く我が国EEZでの漁獲)であった。
中国の東シナ海および黄海での漁獲量は、2014年は80万~90万トンと推定される。

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構、水産庁「平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)」わが国周辺の水産資源の現状を知るために http://abchan.fra.go.jp/digests28/html/2854.html(参照2016-10-30)

グラフ1を見ると、1990年頃までは以西底びき網漁業が漁獲量の大半を占めていますが、90年代後半には10%以下になっています。
そして2000年頃からは、以西底びき網漁業による漁獲量がほとんど無いように見えます。

以西底びき網漁獲量の減少分を、他の漁法による漁獲量の増加で補えば問題は無かったのですが、近年はどの漁法による漁獲量も減少しています。
以西底びき網漁業による漁獲量の減少(以西底びき網漁業の衰退)が、タチウオの漁獲量減少の原因である、と見ることができるかもしれません。

グラフ2を見ると違う可能性も見えてきます。
日本・中国・韓国の漁獲量を比べたグラフですが、中国の漁獲量が他を圧倒しています。
1990年代中頃から中国の漁獲量が大きく増加しています。90年代後半からは3国の漁獲量の9割以上を中国が占めているようです。
日本はほとんど見えていません。

東シナ海・黄海という広大な範囲で漁業を行っていることも、中国の漁獲量の一因です。日本のEEZとはわけが違います。
また、中国の人口は約14億、日本は約1億2千万、韓国は約5千万です。人口比で言えば、漁獲量の9割を中国が占めているのも納得できます。

しかし、3国合わせて100万トン以上の漁獲量は適正ではないようです。(主に中国なのですが)

資源評価のまとめ
・資源水準は低位、動向は横ばい
・以西のCPUE 、資源密度指数、標本農林漁区のCPUEは2002年以降、沖底のCPUE、資源密度指数は1960年代後半以降、極めて低い値で推移
・調査船調査による現存量推定値も回復は見られない
・漁獲圧の大部分は外国漁船によるもの
管理方策のまとめ
・関係各国との連携により、本資源への漁獲圧の低減が必要
・我が国EEZでの韓国の漁獲量は我が国の漁獲量と同程度であることから、韓国漁船の操業も適切に管理することが重要
・我が国周辺海域で再生産を行う産卵親魚の増大を図ることが重要

出典:国立研究開発法人水産研究・教育機構、水産庁「平成28年度資源評価報告書(ダイジェスト版)」わが国周辺の水産資源の現状を知るために http://abchan.fra.go.jp/digests28/html/2854.html(参照2016-10-30)

現在、日本でのタチウオという漁業資源は上記のように判断されています。
他国による漁獲圧が高く、タチウオ資源の推定量も以前より減少しているようです。
各国と連携しながら、タチウオ資源を増やして(守って)いくことが必要なのかもしれません。

以上のことを下記にまとめます。

  • 東シナ海・黄海で行われる漁業が日本近海の太刀魚個体数にどう影響するのか、因果関係はわかならい。
  • 外国漁船の漁獲圧は高い。(特に中国)
  • 日本のEEZ内で韓国も日本と同程度の量の太刀魚を漁獲している。
  • タチウオ資源水準が低迷しているの。
  • 以前と比べて日本のタチウオ漁が衰退してしまった。

釣り人にとって重要なことは、中国・韓国のタチウオ漁業があなたの釣果に影響を与えている可能性は大きい、ということです。
中国の漁獲量の多さ、韓国が日本のEEZでも漁業をしていること、日本のタチウオ漁獲量は昔よりも減っていること、タチウオが深海でも生息できる回遊性の魚種であることを考えれば、こういう結論になりそうです。・・・断言はできませんけど。

太刀魚は釣魚として非常に魅力のある魚です。
釣り人なら、「俺が釣る魚を取らないでくれ!」と思ってしまうかもしれないですね。
しかし、他国の漁業権が絡んだ問題ですから、資源回復は難しいかもしれません。

まあ、太刀魚が釣れない時の言い訳としては使えると思いますよ。

「中・韓の漁師に先に獲られてしまったから、仕方ないんだ!」と。

タチウオ漁関連のことしか書いてませんが、なんだか長くなったので次回に続きます。

タチウオ漁獲量の多い中国。何故これほどまでに多いのか?原因を考えてみた。
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