へんてこ フィニッシングモーターの自作

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その他

 

今回はフィニッシングモーター(ロッドドライヤー)の自作です。

まずは前置きからどうぞ。

 

きっかけ


「今年のサーフでの青物釣りはベイトタックルで楽しみたい」

連続ボーズのヤリイカ釣りの帰り道、ふとそんなことを思いついた。

 

今まで投げ竿みたいな硬い竿とベイトリールで青物釣りをしたことはあったけど、「ベイトルアータックル」での青物釣りはやったことがありません。

きっと、広いサーフの中、ベイトタックルを使って青物釣りをしたら楽しいに違いないはず。

 

家に帰ってから長いベイトロッドについて調べてみると、どうやらサーフで使えるようなモデルはあまり販売されていないようですね…。

しかも、「ちょっとした思い付きを試すため」に購入するには値段が高いモデルが多いかな…、という印象。

できれば、もう少し安いと試しやすいんだけど……。

 

「どうせなら自分で竿を作っちゃうか!?」

お手頃なモデルがなかったので、サーフで使うベイトロッドは自分で作ってみることにしました。

まあ、作るといってもスピニングロッドからベイトロッドにリメイクするだけなんだけどね。
リメイクならそんなにお金も掛からない……はずです。

 

ロッドをリメイクするとなると、そのための道具を用意する必要があります。

そのうちの1つが「フィニッシングモーター」。ガイドスレッドのコーティングには必須の道具です。

私はフィニッシングモーターを持っていないので、この道具も自作することにしました。

この道具にお金をかけてしまっては本末転倒です。「ちょっとした思い付き」にお金をかけることになってしまいます。

…だって、これからも竿を自作するとは限らないですからね。

 

では、できるだけ安くフィニッシングモーターを作ることを目指します!

 

フィニッシングモーター 低コスト自作

ここからはフィニッシングモーターの自作方法を紹介します。

多くの方達によってフィニッシングモーターの自作方法は既に紹介されていますので、基本的にはそれらを参考にして製作しました。

しかし、コスト削減のために「予想外の見た目」になってしまいました。

※できるだけコストを掛けずに製作しましたが、これは「私の場合のコスト」です。
元々持っていたものを利用してコストを削減していますので参考にならないかもしれません。

 

さて、フィニッシングモーターの自作で重要なのは「シンクロナスモーターの入手」と「ロッド保持部をどうするか?」です。

この2つさえクリアすれば完成したも同然です。(たぶんね)

 

ロッド保持部は、シンクロナスモーターの軸のサイズや形状によって作り方が変わってくるので、まずは使用するシンクロナスモーターを用意しましょう。

 

この「シンクロナスモーターをどう手に入れるか?」というのはフィニッシングモーターを低コスト自作する上で問題になると思います。

中国製のものをネット通販で購入するというのが一番安いみたいですが、これだと購入してから届くまでに数週間(もっと?)かかるようです。時間がかかるというのがネックですが仕方ありませんね。

 

安く購入すると時間がかかる一方、人によってはシンクロナスモーターは購入しなくてもすぐに手に入れることができます。

…手に入る、と言いますか「すでに持っている」と言った方が良いかもしれません。

 

調べるまでは私も知らなかったのですが、扇風機や暖房機の首振り機能にはシンクロナスモーターを使っているものがあります。
※首振り機能のオン・オフを「つまみ」で切り替える扇風機にはシンクロナスモーターは入っていないので注意。

「首振り機能なんか、いらねぇぜ!」って人はこれらの機器を分解することでシンクロナスモーターをすぐに入手することができます。

これらの機器からシンクロナスモーターを取り外すくらいの分解なら簡単です。リールを分解する方が難しいはず。

 

まあ、これを「ただで手に入れる」とは言えないかもしれませんけど……

私はセラミックファンヒーターからシンクロナスモーターを取り外すことにしました。
首振り機能なんて使ったこともなかったので、使わないモーターを有効利用してコスト削減します。

 

じゃあ、ついでにセラミックファンヒーターの分解工程の紹介でもしますか。

 

セラミックファンヒーター分解

……何ブログだ?って感じですけど、気にせずいきます。

 

まずは首振り機能の有無を確認してください。

このようにタイマーや風量などと一緒に首振り機能も表示されている(on・offのボタンがある)タイプの扇風機・暖房機ならシンクロナスモーターが使われている可能性が高いです。

 

本体のネジを外す

後側からネジで留めてある製品がほとんどだと思います。
※著作権に配慮して新聞にモザイクをかけていますが気にしないでください。

 

背面カバーを外す

基盤やファンが出てきます。

 

下の方にシンクロナスモーターが取り付けられています。

 

シンクロナスモーターのコード(電線)は基盤に取り付けられてます。

黄緑○のところ

これなら簡単に取り外せそうです。

 

コードをまとめている結束バンドを外す

小さいマイナスドライバーを使えば外すことができます。

 

シンクロナスモーターが取り付けてある土台を外す

ここもネジで留めてあるだけです。

 

土台からシンクロナスモーターを外す

これもネジで留めてあるだけです。

 

このモーターは、1分間に2.5~3回転するもののようです。
……フィニッシングモーターに使うにはちょっと遅いような気がしますね。


軸の径は7mmで、雌ネジが切ってありました。

 

シンクロモーターを外したら、分解と逆の手順で組み立てます。


組み立てた後は、念のために動作確認をしておきましょう。

 

以上、「セラミックファンヒーターを分解してみよう」のコーナーでした。

 

自作 開始

シンクロモーターの現物を確認できたので、フィニッシングモーターを作るのに必要なものを購入します。

 

私の場合、購入したのは

  • ブックスタンド 2つ
  • コンセントプラグ

の3つだけ。

 


100円ショップで買ってきたので、全部で300円+税金です。
これで上手くいけば300円でフィニッシングモーターが作れたことになりますね。

ネジやナットなどは手元にあったので新しく買う必要はありませんでしたし、シンクロナスモーター回転軸に取り付ける「ロッド保持部」の材料も買う必要はなさそうだったので、とても安上がりになりました。

 

ブックスタンドに穴を開けてシンクロナスモーターをネジとナットで留めます。

コードもコンセントプラグに接続しました。

 

さて、次はロッド保持部です。

ネットで調べたところ、この部分をしっかり作っておかないとロッドを回転させた時にブレが出てしまうようですね。

この部分の完成度がフィニッシングモーターの完成度に繋がるといっても過言ではないでしょう。

 

私のシンクロナスモーターは軸径が7mmだったので、富士工業から販売されている

このパーツを買おうかとも思いましたが、ある方法を思いついたので先にそちらを試すことにしました。

 

思いついた方法は、「モーター軸にカップ状のパーツを取り付けて、それにロッドをはめる」というもの。

これならロッドをセンターに保持できるので、回転にブレが出ないはず。

 

それではロッド保持部を作っていきます。

用意するのは丁度良い大きさのスプレー缶のキャップ

 

このキャップの真ん中に穴を開けます。

ここで穴がセンターからずれてしまうと回転がぶれるので注意。

 

穴をφ2mmまで広げ、シンクロナスモーターの軸にネジで取り付けます。

※これは私のモーターの軸に雌ネジが切ってあったからできる方法です

 

あとはロッドの太さをマスキングテープなどで「かさ増し」してやればカップにしっかりとハマります。


セットした後に少し調整してやれば、ばっちりセンターが出せます。

2ピースロッドのティップセクション用にペンのキャップでも同様のロッド保持パーツを作りました。

 

あとはもう一つ台座を作れば自作フィニッシングモーターの完成!……だったんですが、どうも1分間に2.5回転というのは遅すぎる気がするので、「もっと早く回転させるにはどうしたらよいのか?」と考えてみることにしました。

 

回転スピード変更の試み

①シンクロナスモーター内部のギア交換

調べてみるとシンクロナスモーターというのはボディ内部に何枚かのギアを備えていて、そのギアで元々のモーターの回転を減速しているということがわかりました。

ならば、ボディを開けていくつかのギアを交換してやれば回転スピードを変更することができるはずです。

 

この方法が上手くいくならシンクロナスモーターを取り付けた台座もそのまま使うことができるので、まずはこの方法を試してみました。

シンクロナスモーターのボディを開けるには4ヵ所のツメを外す(曲げる)必要があります。

黄緑○のところがツメです。

 

このツメを外すのには苦労しましたが、意外な道具を使うと簡単に外すことができました。

使ったのはフィッシングプライヤーです。
これのスプリットリングオープナーをツメに引っ掛ければ簡単に開けられます。

 

4つのツメを外し、ボディを開けてみると……

確かにいくつもギアが組み込まれています。

あとはこのギアを交換してやればいいだけなんですが……
調べてみると、ギアにはモジュール(歯の大きさ?)というのがあって、これが一致したギア同士でないとうまく動かないようです。

 

モジュールを調べるには、ギアの歯数とピッチ円直径(ただの直径ではない)というのを調べないといけないようなので、1つずつギアの歯数・ピッチ円直径を調べて、それぞれのギアのモジュールを割り出します。(これが地味に面倒)

 

しかし、どうも隣り合うギア同士でモジュールが一致していません。
「これだと動かないはずじゃないのか?」と軽く混乱してきます……。

 

良く理解できないまま、ネット通販で交換用のギアを探してみますが、中々良さそうな商品が見つかりません。

プラスチックギアのセットなども販売されているのですが、詳細なセット内容がわからないので欲しいギアが含まれているのか分かりません。

 

手に入るかどうか分からないギアにお金を掛けるなら、新しいシンクロナスモーターを買うほうが良いかもしれません……。

 

この方法は諦めて、次の方法を考えてみます。

 

②モーター外部にギアを増設する

「中がダメなら、外でしょ」ってことで、今度はシンクロナスモーター外部にギアを設置して回転を加速する方法を考えることにしました。

 

この方法の場合、ギアを2つ、回転軸、回転軸の軸受(台座)が新たに必要になります。
用意するギアは大小の2枚。モジュールが一致していればOKです。

しかし、シンクロナスモーター内部のギアを交換する方法と違い、この方法はある程度の加工精度が求められます。

 

簡単なイラストで説明します。

このイラストの「台座 1」と「台座 2」を貫く「回転軸」の穴がズレないように、かつ「ギア 1」・「ギア 2」もキッチリと噛み合うように加工しなければなりません。

 

構造は簡単ですが、「回転軸がブレない」・「ギアがしっかりと噛み合う」という加工をする自信は……ありません!

 

果たして上手く作ることができるのか…?

ま、加工精度の心配をする前に、どれくらいのコストが掛かるか調べてみることにしました。

ネットで安いギアを探して大まかなコストを計算してみましたが…やはり新しくシンクロナスモーターを購入した方が安そうですね。…恐るべし、中国製。

 

「できるだけコストを削減する」を目標に掲げているので、安易にもう一つモーターを買うというのは避けたいところ。(変なプライド)

 

シンクロナスモーターの回転を速くする良い方法が何かないか、と考えること一日……。

あるアイデアが閃きました。

 

「もしかして、アレが使えるんじゃないか!?」

 

「アレ」っていうのは釣り人にはお馴染みのあの道具です。

 


そう、リールです! スピニングリール!


※この画像のリールを使ったわけではありません。分解する前に写真を撮るのを忘れちゃったんだよね…

 

「は?…何言ってんだ?」と思った方もいるかもしれませんが、まあ、ちょっと考えてみてください。

 

リールって1回ハンドルを回すとギア比に応じて5~8回転もローターやスプールを回していますよね?。

つまり、リールってハンドルの回転速度を「増速」しているわけです。

シンクロナスモーターの回転速度を速くするのにピッタリなのではないでしょうか?

 

しかも、リールを使うことによって「ギアの噛み合い」・「回転軸のブレ」の問題も解決です。

難しい加工は必要ありません! やったね!

…こう考えると、リールを使うというのは意外と良いアイデアかもしれませんね。
手持ちのリールを使うのでコストも掛かりませんし。

 

思いついたら、即実行です。

引っぱり出してきたのは中古屋で買った古いリール。
値段は、たしか100円か50円だったと思います。……考えてみれば、そこそこの精度をもったギアや金属部品が使われている機器が100円って破格ですよね?

ハンドルは供回り式でギア比は5.3:1です。

これで上手くいけば、元の1分間に2.5~3回転というモーター軸回転を、1分間に13~16回転にすることができます。これならフィニッシングモーターで使いやすいのでは?

 

さて、リールを利用する場合に問題になるのは、「モーター軸の回転を如何にしてリールのギアに伝えるか?」です。

具体的には、ハンドル軸穴(ギアの穴)にモーター軸を通すか、ハンドル軸とモーター軸を連結するか、のどちらかの方法で回転を伝える必要があります。

しかし、どう見てもモーター軸よりもハンドル軸穴は小さいので、今回はハンドル軸とモーター軸を繋ぐ方法を試すことにしました。

 


…結論から書きますと、モーター軸とハンドル軸は簡単に繋ぐことができました。

ラッキーなことに、私のシンクロナスモーターの軸に雌ネジが切ってあったからです。

 

このネジ穴の径がね……

用意したリールのハンドル軸(のキャップ)のネジと同径という、ね。



めっちゃラッキー。

必要な加工は「ネジの頭を切り落とす」だけでした。
しかし、回転の抵抗軽減のためにハンドル軸も切っておきました。

 

リールから不要なパーツを取り外しておきましょう。

必要なのはボディ・軸受・ドライブギア・ピニオンギアだけです。
回転の邪魔になるパーツはいりません。

 

あとはロッド保持部も新しいものを用意して、リールの軸(ピニオンギア上部)にローターナットで取り付ければ、完成です!


ロッド保持部がリール本体やネジに接触しないようにリール軸にワッシャーを入れておきました。

 

さあ、ちゃんと動くか???

…!
ちゃんと動いてますね! 回転スピードも良い感じです。

※モーターの台座にリールを固定しないと「リール自体」が回転します。ちょっとしたインテリアとしては面白いかもしれませんが、フィニッシングモーターとして使う場合はちゃんとリールを台座に固定しましょう。ちなみに私は輪ゴムで固定しました。

 

ちなみにこれが元々のモーターの回転です。

…遅ぇ~。

 

試しにロッドをセットしてみました。

うん、問題なさそうですね。

 

よし!これでフィニッシングモーターの完成です!!

 

…あ、ロッドを支えるもう一つの台座を忘れてた。
ま、これは省略ということでいいか。

これでやっとロッド作りに執りかかれるけど……
フィニッシングモーター自作だけでなんか「お腹いっぱい」みたいな気分になっちゃったよね……。

 

 

おわり

 


2018年 4月7日 追記

ロッドにいちいちテープを巻いて太さを調節するのは面倒&もったいないので、上で紹介しているフジのロッド保持部(チャック)を購入しました。

なんと、これも無加工でリールに取り付けることができました。


なかなかイケてるんじゃないでしょうか?

なんか、もともとこういう機械だったんじゃないかと錯覚しそうです。

これでガイドの付け直し作業も捗りそうですね。

 

 

追記おわり

 

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