輸入釣りエサ「シラサエビ」

今回は釣りで使うエサについて。
たまには釣り餌にスポットを当ててみましょう。

さて、皆さんは釣り餌として販売されているエビ、「シラサエビ」をご存知でしょうか?

このエビは生き餌として売られている淡水エビで、主に海釣りのエサとして使われているようです。

シラサエビというのは関西での呼び方で、関東ではモエビと呼ばれています。
シラサエビ・モエビというのは地方名で、本来の名前はスジエビ(テナガエビ科:Palaemon paucidens)というようです。

元々は琵琶湖で獲れたものをシラサエビと呼んでいたようなので、もともとは琵琶湖産スジエビのブランド名といったところでしょうか?

このシラサエビ、関西では割とポピュラーな釣り餌のようですが、私の住む関東では取り扱って無い店も多く、たとえ取り扱っていたとしても値段が高い(加えて販売量も少ない)ので「普段の釣りで使えるエサ」というイメージは全くありません。

……と言いますか、今まで一度も使ったことがありません。(高すぎるよね…)

釣り場でシラサエビを使っている人も見たことがありません。(まあ、高いからね…)

そんな関東ではあまり馴染みのないシラサエビ、今後はもっと「高嶺の花」になってしまうかもしれません。

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輸入禁止?

日本産スジエビ(シラサエビ)の主要な産地は琵琶湖ですが、この生き餌を1年を通して安定供給をするのは難しかったようで、少し前までは韓国・中国産のスジエビ(と似たようなエビも)を輸入したものも販売されていました。

そう、「少し前までは」…です。

現在は外国からシラサエビの輸入はされていないようです。

輸入されなくなった理由が「日本のシラサエビ生産量(漁獲・養殖量)が増加した」、或いは「シラサエビの輸送技術が上がってエビの生存率が大幅に向上した」ことで日本産シラサエビだけで十分賄えるようになった、というのなら何も問題はなかったのですが…実際には違います。

以下引用します。

水産生物の新たな輸入防疫制度は水産資源保護法に基づく輸入防疫、および持続的養殖生産保護法に基づく国内防疫で結論はシラサエビが許可制で実質の輸入禁止になり、ブツエビは今まで通りで禁止にならない。平成28年7月27日から新制度が開始されている。
日本での未確認の疾病が世界各地で発生・拡大しつつあり、我が国への侵入の危険性が増大している。
実例:① エビの急性肝膵臓壊死症:クルマエビの稚エビで高い死亡率(最大100%)② カキヘルペス1型の一部変異型による感染症:マガキの稚貝で高い死亡率(最大100%)③ ホタテガイのパーキンサス・クグワディ感染症で稚貝の高い死亡率(最大90%)など、深刻な被害が出ている。そこで、水産防疫体制の見直し・強化が必要でテナガエビ科エビ類が新たに追加され、輸入許可が必要になった。
現状N社長からの情報:関空到着後、税関が12時間かけて調べて、その後、開封する。そうすると、冷水をかけて仮死状態で特製コンテナで空輸されたシラサエビは半数以上死んでしまう。現在でも、遠隔地の配達では、午前中、中国から関空に到着して、直ぐ伊丹空港(国内線)に運び、そこから高知空港に空輸する。高知は釣り餌用国産淡水エビが少ないので、需要が多い。夕方6時くらいに到着して、現在でも50%は死亡する。シラサエビが許可制になると、ほとんどが死亡してしまい、採算が取れなくなるので、関空の取り扱い業者は現在5社で他の業者も含めて中止せざるを得ない。実質上の輸入禁止になる。

兵庫県立 人と自然の博物館「釣り餌用ブツエビ・シラサエビ(商品名)の輸入禁止の実態と影響および2016TCSシンガポール大会参加・発表報告」http://www.hitohaku.jp/publication/book/kyosei12-p8.pdf(参照2018-3-26)

引用元によりますと、生きたシラサエビの輸入が無くなったのは、「世界的な規模で拡大している水産生物の感染症から国内種を守るための規制」というのが原因のようです。

シラサエビの輸入自体は禁止されていませんが、許可を得るための検査(検疫)に長い時間がかかるのでほとんどのエビが死んでしまい、それでは採算が取れないので輸入されなくなった……ということのようですね。

ここで「釣りエサに使うだけの外国産シラサエビから国内種へ病気がうつるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。

私も「海釣りのエサに使うだけなら問題ないのでは?」と思ったんですが、実際に「シラサエビ」として販売されている外来エビが静岡県や神奈川県などで生息しているのが確認されているようです。

このような外来エビがどのような経緯で国内に生息することになったかは定かではありませんが、人の手で川や池に放たれたのはほぼ間違いないでしょう。

既に人為的に外来エビが放流され、それが国内に生息しているということを考えれば、今後も同様に外来エビが放流されてしまう可能性を考えるのは当然でしょうし、「生きたシラサエビの輸入を制限する」という判断も妥当でしょうね。

そして、シラサエビの輸入ができないので供給量が少なくなり、その分値段が上がって手に入りづらくなる……と。

琵琶湖のシラサエビ生産量も近年はパッとしないようですし、このエサをよく使う釣り人にとっては大きな痛手でしょう。

一方、釣りエサの「ブツエビ」と呼ばれるエビ(カワリヌマエビ属)は検疫の必要がなく、今まで通りの輸入ができるようです。

…う~ん、なんでブツエビはOKなんだろう?

この種のエビは病気にならないんでしょうか?(そんなことはないと思うけど)

それとも、一度に多くの種を実質輸入禁止にすると輸入業者に与えるダメージが大きいから?

…なんか釈然としませんね。

外国産「シラサエビ」と同様に、外国産「ブツエビ」も日本各地での生息が確認されているようですし、シラサエビだけ輸入許可が必要というのは……なんだかなぁ。

…まあ、いいや。

「シラサエビの実質輸入禁止」についての詳細は「外来釣り餌動物チュウゴクスジエビPalaemon sinensisの流通に及ぼす新輸入防疫制度の影響」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/84/1/84_17-00043/_pdf/-char/ja)を見ていただくことにしましょう。

さて、今回はシラサエビの輸入制限問題について取り上げてみましたが、今後、他の釣りエサでも感染症などの理由で新たに輸入禁止になるものもあるかもしれません。(別に不安を煽るつもりはありません)

そうなると「もしかしたら気軽に餌釣りができなくなってしまうのでは?」と少し心配になったりします。

なにせアオイソメやチロリなんかは輸入ものだし、他のエサも日本産だけで賄えているものは少ないらしく、今や日本の餌釣りは輸入釣りエサがないと成り立たないと言っても過言ではない状況です。

シラサエビの件をきっかけにして国内で釣りエサを賄えるような体制になってくれればいいんだけど……なかなか難しいか。

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